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江端浩人氏に学ぶ、デジタルトランスフォーメーション(DX)最前線

「とりあえずデジタル化」に終止符を DXを成功させるフレームワーク「DX2.0の4P」を理解する

 DXへの注目が高まるなか、その波にどう乗るべきか模索している企業も少なくないだろう。これまでに各種企業のDXを見てきた江端浩人氏は、現状を踏まえ「ITの技術面からだけでなく、マーケティング視点を持ってDXを推進することが必要」と主張。そうしたマーケティング視点のDXを「DX2.0」と名付け、そのフレームワーク「DX2.0の4P」を著書『マーケティング視点のDX』で提唱している。江端氏に、DXにマーケティング視点が不可欠な理由、DX2.0の4Pについて尋ねた。

デジタル化はDXの一歩目に過ぎない

――2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、あらゆる分野のデジタル化が加速しました。それにともないDXというキーワードも、非常に多くの場で耳にしたように思います。江端さんは2020年10月に『マーケティング視点のDX』(日経BP)を出版されましたが、書籍の「はじめに」において、こうしたデジタル化はあくまでも「DXの一歩目であり、本質はその先にある」と述べられていましたね。

江端:ご存知の通り、DXは「Digital Transformation」の略称であり、その本質はTransformation=“進化”にあります。アナログからデジタルへの置き換えで良いのであれば、それは「Change to Digital」ですよね(笑)。つまり「デジタル化」は、あくまでDXの前提なのです。

 ただし、何でもかんでもデジタル化すれば良いというものはなく、アナログで残すべきところも当然あります。何も考えずにデジタルに置き換えてしまうと、却って不便になってしまうこともあるため、どこをデジタル化すべきなのかは、きちんと考える必要があるでしょう。

江端浩人事務所 代表/エバーパークLLC 代表iU 情報経営イノベーション専門職大学教授江端浩人氏米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでiマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長、アイ・エム・ジェイ執行役員CMO、ディー・エヌ・エー(DeNA)執行役員メディア統括部長、MERY副社長などを歴任。現在はエバーパークLLC、iU情報経営イノベーション専門職大学教授および江端浩人事務所代表として各種企業のデジタルトランスフォーメーションやCDOシェアリング、次世代デジタル人材の育成に尽力している。メンバー7,000名超の次世代マーケティングプラットフォーム研究会主宰。著書に『マーケティング視点のDX』(日経BP)
江端浩人事務所 代表/エバーパークLLC 代表iU 情報経営イノベーション専門職大学教授 江端浩人氏
米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでiマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長、アイ・エム・ジェイ執行役員CMO、ディー・エヌ・エー(DeNA)執行役員メディア統括部長、MERY副社長などを歴任。現在はエバーパークLLC、iU情報経営イノベーション専門職大学教授および江端浩人事務所代表として各種企業のデジタルトランスフォーメーションやCDOシェアリング、次世代デジタル人材の育成に尽力している。メンバー7,000名超の次世代マーケティングプラットフォーム研究会主宰。著書に『マーケティング視点のDX』(日経BP)

――デジタルに置き換えることで不便になるとは、どういうことでしょうか?

江端:たとえば昨年、政府が定額給付金を国民に支給する際、その申請をデジタルでも受け付けると発表しました。一見便利に聞こえますが、2つの面で不便が生じました。

 まず申請者(ユーザー)側は、デジタルで申請する場合にはマイナンバーカードを持っていないといけませんでした。またただ持っているだけではなく、デジタル申請にも使えるよう、定期的にパスワードを変えておかなければなりませんでした。果たして一体何名の方がこの状態にあったのでしょうか……。結果として、デジタルで申請するために、役所で何時間もかけてパスワードを変える必要があるなど、本末転倒な状況になっていました。

 一方で省庁(提供者)側にも不便が生じていました。省庁のシステムは、デジタルで受け付ける仕組みが準備できていなかったのです。そのため、デジタルで申請されたものを印刷し、目視で確認するという状況に陥りました。「郵送で送られてくるものを確認するよりも大変」と職員が話す様子をニュースで見た方も多いのではないでしょうか。

 このように、何も考えずに表面の一部分をデジタル化してしまうと、全体が却って不便になってしまうこともあるのです。本来であれば、申請をデジタル化する前に、ユーザーと提供者側、双方の利便性を高める方法を「本当にデジタル化したほうが良いのか」といったことも含めて検討し、進めるべきだったのです。

 昨年9月には、2021年9月に向けたデジタル庁の設立も発表されましたが、今やっていることをどうデジタル化すべきかを話しているだけでは、定額給付金の二の舞になってしまうでしょう。

 大切なのは現状の課題を正しく理解し、理想の未来像を描き、それを達成するために何をすべきかを考えること。そして、この現状課題の分析や未来の設計という部分は、マーケターが非常に得意な分野です。そのため私は、DXにはマーケティング視点を入れるべきと考えています。

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

1993年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。Web記事に加え、定期購読誌『MarkeZine』の企画・制作、イベント『MarkeZine Day』の企画も担当。最近はSDGsに関する取り組みに注目しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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