マーケティング理論に踊らされているのは誰か?
「村中さん、今度出す新製品をWebを使って販売促進したいのでアイディアをいただきたいのですが」と相談されることがある。相談者は「Web 2.0」、「SEO」、「ポジショニング」、「ブルーオーシャン」など華麗な用語を織り交ぜて、自身のWebマーケティングプランを語る。
しかし相談者に、商売の基本事項である「誰に・何を・どういうタイミングで売り・どういう風に集金するのか」について尋ねると、とたんに答があやふやになってしまうのだ。
たとえば「この商品は自治体にニーズがある。Webで売れるようにしたい」というので、「では自治体に直販するのか、それとも代理店を使って間接販売するのか。その商品は、それだけを単独で購入する性質のものか。それとも“○○整備プロジェクト”という大きな案件の一部分として購入する性質なのか」と尋ねても、はっきりした答は返ってこない。
相談者はどうも、かっこいいWebサイトを作って巧みなWebマーケティングをすれば、スマートに販売できると思っているようだ。無理無理、絶対無理。このコラムの読者にも申し上げたい。世の中に「Webマーケティング」などない。「手段+マーケティング」という命名はあまり意味がない。例えば「TVマーケティング」、「新聞マーケティング」という言葉には意味がない。単に「マーケティング」でよい。もっと短く 「 販売 」の一語でもOK。
さて、今回紹介するのは、Webデザインは素人っぽく、華麗なマーケティング理論もないのだが、それでも確実に売上げを上げている、創業65年目の老舗運送会社、八光社梱包運輸株式会社(以下 八光社)のWebサイトとその活用術である。