注目度の高まる個人クリエイター
ここからは企業の発信する情報ではなく、個人が発信する情報に対するエンゲージメント傾向を探っていきます。
下の円グラフを見てください。こちらはTwitterアカウントのフォロワーが10万に満たない規模の個人アカウントに絞ったエンゲージメントランキング上位30件のうち、イラストや多様なジャンルの造作を投稿する「個人クリエイター」が含まれる割合を2019年と2020年とで比較したものです。

エンゲージメントランキング上位30の内訳を比較
出典:株式会社スパイスボックス独自のソーシャルリスニングツール「THINK」集計
(調査期間:2020/1/1~2020/12/9)
個人クリエイターの含まれる件数が2019年は4件だったのに対し、2020年は9件に増加しています。「鬼滅の刃」ブームによる二次創作やステイホーム時間の増大などが影響しているのかもしれません。いずれにせよ上位陣は驚異的な規模のエンゲージメントが発生しています。
寄せられているコメントを見ると、完成度の高さや意外性に対する「驚き」の反応が多い傾向。他にも「もっと有名になれ」といった個人クリエイターを拡散して応援する目的の人もいるようです。
2021年はインフルエンサーマーケティングの新たな可能性が試される年
フォロワー数が多く影響力のある人物=インフルエンサーに依頼するインフルエンサーマーケティングはもはや鉄板の手法となってきましたが、フォロワー数が少なくても大きなエンゲージメントを生むポテンシャルの個人クリエイターと共創する手法は大きな可能性があります。
フォロワー数が多い人は、あくまでリーチできるボリュームが多いというだけで高いエンゲージメントを生み出す保証はありません。フォロワー数が少なくてもエンゲージメントするコンテンツを作ることができる人と、リーチするボリュームが多い人とが協力し合う仕組みが機能すると、より大きなエンゲージメントを生むポテンシャルがありそうです。
たとえば政治にまつわる例を挙げると、「#検察庁法改正案に抗議します」は、これ自体が生活者の興味・関心の強い拡散力のある情報ではありますが、これをリーチできるボリュームが多い有名人がハブとなり拡散したことも相まって大きなムーブメントにつながったとも言えます。
インフルエンサーに対して発信する内容も含めてすべてをお任せするやり方だけでなく、生活者の興味・関心の高いテーマをお題としてセットし、ポテンシャルの高い個人クリエイターと共創してコンテンツを作り、賛同してくれるインフルエンサーにハブとなって広げてもらう。このような組み合わせによるモデルが次々試され、インフルエンサーマーケティングの新たな可能性が広がっていくことを期待しています。
