鉄道会館とパナソニック システムソリューションズ ジャパン(以下、パナソニック)は、2020年7月から東京駅構内の商業施設「グランスタ東京」において、新たなデータマーケティング活動を共同で推進している。
取り組みとしては、パナソニックが提供するセンシング技術を活用して駅利用者の動線・属性を可視化し、鉄道会館が保有する購買データやJRE POINTデータなどを組み合わせたデータマーケティングを実践。これにより、コロナ禍における顧客の購買行動の変容に関する知見を集め、確度の高い仮説による施策の立案と実行が可能となった。
行われた具体的な施策事例
弁当・惣菜エリアでの施策
弁当・惣菜エリアは、購入客数500万人/年とグランスタ東京において売り上げ規模が大きいエリアだ。
2020年6月の緊急事態宣言解除後、売り上げが最も好調であった2020年10月と、2回目の緊急事態宣言下であった2021年1月の時間帯別エリア入店状況を比較すると、19時台のエリア入店人数は減少していないが、購入数が減少していることが判明した。
このデータをもとに、「近隣就業者を中心に、20時閉店を意識した帰宅前の惣菜需要が高まっている」「その需要の高まりに供給が追い付いていない」と仮設。
取り引き先と店舗へ19時台の入店状況を具体的な数値で伝え、商品の増産体制、納品体制を強化したところ、19時台において売り上げが149%に増加した。
スイーツエリアでの施策
スイーツエリアでは、隣接する雑貨エリアのメイン客層と比較して20・30代の女性が少ないこと、プチご褒美スイーツ取扱店舗への立ち寄りが多いことが分析から判明。
これをもとに、「プチご褒美スイーツ商品のニーズが高まっている」「雑貨エリアからスイーツエリアへの立ち寄りが不足している」という仮説を立てた。
施策としては、プチご褒美スイーツを取り扱う店舗を拡大し、雑貨エリアの利用客のスイーツエリアへの誘導を強化。これにより、20・30代女性の購入客数15%アップ、プチご褒美スイーツの取り扱いにより立ち寄り率20%アップの成果があった。
両社は今後、分析データにGPSデータなどを追加し、商圏や駅全体の流動分析を行うことで、顧客のニーズに合わせた商品展開やビジュアルマーチャンダイジングの変更、混雑解消に向けたエリア構成の最適化に取り組んでいく。
また、今回得られた知見をもとに分析手法をパッケージ化し、ターミナル駅を中心としたほかのエキナカ商業施設へ水平展開していく。
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