EC転換は必須。EC成長率1273%の企業も
スピーカーのエートゥジェイ創業者である飯澤満育氏は、ECマーケティングのエバンジェリストとして活躍し、2018年にソフトクリエイトホールディングスにジョイン。同グループは、大規模対応かつカスタマイズが可能なパッケージECシステム「ecbeing」とECスタートから中堅規模までを対応するクラウド型ECプラットフォーム「メルカート」の2つのプロダクトで、あらゆるECビジネスに対応し、自社ECに特化した知見を持つ。
まず飯澤氏は、「コロナ禍で変わったEC利用」として、企業の自社EC需要の高まりと、自社ECをやるべき理由を解説した。言わずもがなコロナ禍で人々の消費は大きく変わり、ネットショッピングの利用率やネット利用時間が伸びている。小売りを中心とした各事業者は、EC転換のスピードアップを迫られてきた。
これらの事象を補足する参考データとして、飯澤氏はメルカートを導入する企業50社の売り上げ成長率を紹介。コロナ禍前後の2020年の1月と5月を比較すると、50社の売り上げの平均成長率は約206%になったという。
さらにこの50社のうち最も売り上げが伸びた企業の成長率は、なんと1,273%。同様に大きな成長率を記録した企業は、巣ごもり需要、テレワーク需要など、昨今のニーズに対応する業種であるほか、家電、食料品、日用品、在宅勤務にまつわる商材を扱う事業者も伸びているという。もはやEC化は厳しい経済状況の中で企業が成長するために欠かせない条件であるとうかがえるデータだ。
自社ECは小さくスタートして大きく育てる
では自社ECの立ち上げで気をつけるべき点は何か。
飯澤氏は2つ目のアジェンダに、「ECサイト構築・リニューアル本当に外せないポイントとは」を提示し、これまでに1,300社以上を支援してきたecbeingの知見をもとに、絶対に外してはならないポイントを次のように挙げる。
・スモールスタート型のECであること
・運用リソースを確認すること
・カートシステム変更によるコストを最小化すること
まず同氏が強く提唱するのは、「小さく産んで大きく育てていく、スモールスタート型のEC」であること。特に「モール出店ではなく自社ECだから」と、カスタマイズモデルを希望し、あれこれとこだわりたい声に、飯澤氏は警鐘を鳴らす。
「売り上げが少ないEC導入期に、カートシステムの細部までこだわってコストをかけるのは避けましょう。投資回収までの時間がかかるだけでなく、集客を伸ばす時期に、プロモーション予算も制限されてしまいます。導入期は、コストを極力下げてスタートする戦略が必須です」(飯澤氏)
一方で、EC事業の全体計画は、ECの規模を念頭に置いて考える必要があり、その規模ごとに使うべきツール、カート、プロモーション手法が異なってくる。飯澤氏は、EC事業を導入・成長・拡大の3フェーズに分けて、それぞれのポイントを語った。