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横山隆治氏解説!コミュニケーションデザインとメディアアロケーション

「ミドルファネルをどう定義するか」 6つの要素から組み立てるコミュニケーションデザインマップ作り

6sights modelを構成する6つの要素

 ミドルファネルでレリバンシーを構成する現代的要素を示す、6sights modelの6つのプロセスを解説します。

1、「マスメディア認知」

 まずは、「マスメディア認知」です。これは通常はパーチェスファネルのスタート地点(=アッパーファネル)として位置づけられます。SNSなどからの共感認知(これも従来の認知とは質が違う)からのスタートの場合、「私が気にかかっていたあのブランドはテレビでもCMをしていて皆知っている」というパーセプションを生みます。これはミドルファネルとして機能しますし、同時に「買う理由づけ」にもなり得ます。テレビによる「社会ごと化」しているという認識は重要な要素なのです。

2、「自身のコンテキストとの合致」

 次に「自身のコンテキストとの合致」です。いわゆるレリバンシーの中核で、「このブランドは自分と関わりがある」と意識するための欠かせない要素です。ターゲットの文脈(コンテキスト)発見し、合致したコミュニケーションをするために、ターゲットの顕在化したニーズに留まらず、無意識のニーズや、ライフスタイルから想定できる琴線のスイッチなど、ターゲットインサイトを文脈の視点でコミュニケーション要素を探索する作業です。

3、「感情的関与(情緒的関与)」

 3つめは「感情的関与(情緒的関与)」です。これは、ブランドが醸し出す世界観、空気感、色彩印象、音楽的印象、ムード、隠れたシグナル(記号)などと、ブランドのユーザーイメージで構成されるものです。テレビCMが最も得意としてきたブランディングコミュニケーションで、効果の持続性、蓄積性があります。

4、「共感認知」

 4つ目は「共感認知」です。「感性」を信頼している人からの口コミ、SNS上のインフルエンサーからの認知は、従来のマス認知とは質的に違います。情報ルートとして「何を言ったか」ではなく、「誰が言ったか」が意識され、かつ評価されます。この認知経路には認知した時点でレリバンシーを獲得していることが多く、マーケティング的には期待値の高い認知と想定できます。

5、「買う理由づけ」

 5つ目は「買う理由づけ」です。購買リスクが高い(比較的価格の高い)商品では、特に自分自身への購買のエクスキューズが必要です。また購買後にも「買って良かったんだ」という追認が、積極的なシェアにつながることになり、ここにテレビCMが機能する可能性があります。

6、「理性的関与」

 最後は「理性的関与」です。これは左脳的な言語化された評価、数値化されたスペック、比較優位、またここにはコミュニケーション上で「新たな指標による気づき」が必要です。

図解:コミュニケーションデザインの全体像を描く

 ここで、簡単な例として、マスメディア認知からのプロセスと、SNSからの共感認知からのプロセスを描いてみましょう(説明しやすくするためにあえて簡略化しています)。こうすることで、コミュニケーションデザインの全体像は作りやすくなります。

 このプロセスにPOEマトリックスを作り、施策を漏れなくダブりなく俯瞰します。この作業は決してすべて施策化することではありません。抜けがないかを確認するためです。

 というのも、こういうマトリックスを作っては、すべてのフレームを埋めることに専念してしまうケースがありますが、あまり生産性のある作業ではありません。頭でっかちになり過ぎて施策に結びつかないのです。あくまで施策を俯瞰して、施策の全体像や施策の連携、施策が機能していることをチームで共通認識をもつためです。

 筆者が2009年に企業のマーケティングメディアをP(ペイド)、O(オウンド)、E(アーンド)の3つに整理することを提唱したのは、POEを区分して分掌するためではなく、むしろそれぞれがバラバラにならないようにお互いを連動させることを意識したものでした(著書:『トリプルメディアマーケティング』。POEを統括して同じベクトルに向けてコントロールする管理者が必要であることを説いたものです。

 こうした作業を、ブランドマネージャー、宣伝部担当者、広報担当者などとブランドチームで一緒に作業してみましょう。マーケティングコミュニケーション戦略の全体像俯瞰、戦術(具体的施策)との連動、共通言語などが擦り合わされます。

 最初はコーチングが必要(やはり知見のある人にコンセプトやプランをフィードバックしてもらって鍛える)でしょうが、繰り返すことでチームの力が確実につくことでしょう。

 次回は、ターゲットリーチを最適化する(デモグラ以外でのセグメント)という切り口から、「テレビ×デジタルのアロケーションモデル」について、解説します。

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この記事の著者

横山 隆治(ヨコヤマ リュウジ)

横山隆治事務所 代表取締役
ベストインクラスプロデューサーズ 取締役 ファウンダー
トレンダーズ 社外取締役

1982年青山学院大学文学部英米文学科卒業。同年、旭通信社(現・アサツー ディ・ケイ/略称:ADK)に入社。インターネット広告がまだ体系化されていなかった1996年に、日本国内でメディアレップ事業を行う専門...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/04/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/36133

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