コロナ禍を迎え、あらゆる物事がオンラインシフトする中、企業の「売り方」もその例外ではない。2021年5月17日(月)に翔泳社から刊行された『「売り方」のオンラインシフト デジタル起点でリアルでも勝つ!』は、まさにニューノーマル時代の売り方について提言する一冊だ。同書の出版を記念して開催されたオンラインイベントでは、本書の著者であり江崎グリコで全世界のポッキーの広告を統括する玉井博久氏と、対話の相手としてインサイトフォースの山口義宏氏が登壇。企業が今捉えるべきマーケティングの本質を巡り、両者が意見を交わした。
消費者は強い動機がなければ「オンラインで済ませたい」
はじめに、同書の著者である玉井氏が本の内容とねらいを解説した。同書は「リアルでも勝つ」という副題の通り、オフラインを否定するものではないという。
では、玉井氏はオンラインシフトの必要性をどのように捉えているのか。2020年4月に中国の担当者とミーティングを行った玉井氏は、相手のある発言から気づきを得たと語る。
「コロナ禍になり、あらゆることがオンラインで済むとわかった今、『会いたくない人/会わなくてもいい人とはわざわざ会わなくなってきている』と彼らは言ったんです。実際、博報堂生活総合研究所が2021年4月に行った『新型コロナウイルスに関する生活者調査【特別編】』でも、20~30代はテレワークやオンライン授業を経験して『必ずしも会社や学校へ行く必要はないと感じた』と回答しています。会いたい人や強い動機があればリアルに足を運びますが、そうでなければオンラインで済ませたいという消費者心理が生まれているのではないでしょうか」(玉井氏)
消費者が「データを渡してもいい」と思える企業を目指すべき
人々がオンラインシフトする中、企業は具体的にどうマーケティングを設計すれば良いのか。玉井氏は同書の中で、以下のステップを提唱している。
現在地:オフライン中心の売り方
1.パーパスを見つめ直す
2.ポストをする
3.ページをデコる
4.ピュアに行動する
5.パーソナライズする
6.パーティシペーションを図る
7.パフォーマンスを売る
目的地:オンラインシフトした売り方
(p.76)
同書ではこれらのステップを「マーケティングの7P」と呼んでいる。商品をパフォーマンス(成果)として提供できるように開発し、その商品に対する専門的知識または熱量をオンラインにポスト(投稿)する。商品購入ページのデコレーションで顧客の購買を促し、顧客のデータに沿ってパーソナライズ(個別化)したオファーを行う。その後は何らかのプログラムへのパーティシペーション(参加)を促すことで、顧客と長期的な関係を構築するという流れだ。なお、これらはすべてパーパス(意義)に則ったアクションであり、顧客の役に立つというピュアな行動が前提となる。
玉井氏は7Pに欠かせない要素として、データについても言及する。本講演において「データを持たざる企業は立ち行かなくなる」と強調した上で、消費者から信頼されない企業はデータをもらえず、2020年代以降の競争社会を戦えないと指摘した。
「ファーストパーティーデータを得るためには、消費者から好かれる必要があります。消費者に『こんな企業になら自分の極めてパーソナルなデータすら渡してもいい』と思ってもらえる企業になることをまずは目指すべきです。現場にいると、つい売上を達成して利益を得たいと考えがちですが、目先の売上のために未来の売上を犠牲にするような活動を続けていては、消費者からデータを渡したいと思ってもらえません。彼らの大切なデータを提供してもらえると、それを基にバリューの高い提案ができるので、結果的に利益へとつながります」(玉井氏)
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
新規会員登録無料のご案内
- ・全ての過去記事が閲覧できます
※プレミアム記事(有料)は除く - ・会員限定メルマガを受信できます
- ・翔泳社の本が買える!500円分のポイントをプレゼント
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)
1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
