ショート動画は大喜利みたいなもの
渡邉:今はショート動画が大きなトレンドです。先日、YouTubeがショート動画のクリエイターを支援する100億円規模のファンドを設立すると発表しました。弊社が発表しているインフルエンサーパワーランキングでも、最近はTikToker出身者が上位にランクインしています。
平山:短いものを次々に視聴する文化がYouTubeにも流れてきていますね。弊社でも以前はYouTubeのアルゴリズムを意識して10分尺の動画を多く作っていましたが、最近はTikTokでチャンネルを開設するなど、ショート動画の制作に取り組んでいます。
渡邉:ショート動画に向いているのは、30~40秒で完結するドッキリなどの企画ですよね。動画の尺に応じてネタを調整する必要があると思いますが、平山さんはどのようにショート動画を作られていますか?
平山:既存のチャンネルとは別に、ショート動画向けの新企画のアイデアを社内でどんどん出しているところです。ショート動画は大喜利みたいなものなので、シンプルなお題とテンポの良い回答で完結する内容なら視聴者も続けて見たくなるのではないでしょうか。
渡邉:ショート動画のトレンドは2022年以降もしばらく続くと私は考えているのですが、平山さんはどうお考えですか?
平山:たしかに、ショート動画はプロと素人の差が出にくく制作費もかからないので、今後も多くの企業が参入してくる気はしますね。
情報収集のツールとしてYouTubeを活用するシニア層
渡邉:YouTubeのユーザー層についても触れておくと、近年は中高年層の割合が急増しています。特に、40~50代のYouTube利用率は75%以上と高く、同世代の利用時間を見ても2年で1.5倍に伸長しています。
平山:弊社の漫画系YouTubeチャンネル「ヒューマンバグ大学」の視聴者層は、10代と同じくらい40代が多いです。単純に笑える動画もありますが、中には実際に起こった事件や病気を扱った教養系の動画もあるので、情報収集の一環として見られているのだと思います。
渡邉:若い視聴者には娯楽要素の強い動画が受け入れられますが、シニア層は趣味領域の情報源としてYouTubeを活用する方が多いですよね。私の父も娯楽系の動画は見ませんが、ゴルフ関連の動画をめちゃくちゃ見ています。
平山:最近はビジネスのつながりをYouTubeで探す方もいるみたいです。おもしろい話を発信している経営者のチャンネルを覗くとか。10代の視聴者は恐らく見ていないと思うので、シニア層ならではの傾向かもしれません。とはいえ、YouTubeもテレビも結局は「箱」。良いコンテンツを作れば全世代が集まると思います。