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消費者調査からひもとく生活の変化

2021年、コロナ禍を経て消費者に起きている行動の変化とは?

2020年、何が変わった?

 ここからは、新型コロナウイルス流行後、直近1年の支出の変化についてみていきましょう。みなさんも変化は体感されているかと思います。ここでは、家計調査における「二人以上の世帯支出の実質増減率」から変化を読み取っていきたいと思います。

出典:統計局家計調査(家計収支編)「二人以上世帯 品目分類:実質倍増率」(2020年2月‐2021年3月)クリックで拡大
出典:統計局家計調査(家計収支編)「二人以上世帯 品目分類:実質倍増率」(2020年2月‐2021年3月)クリックで拡大

 家計の支出金額において、ここ一年で増加したのは、「食料(外食除く)」「家事・家具用品」「保険医療」でした。月によって増減のばらつきはあるものの、最も増加率が高い月で、前年度同月と比べて「食料(外食除く)」は4.2%、「家事・家具用品」は39.7%、「保険医療」は15.9%と増えています。

 その一方で、減少したのは、「食料(外食)」「被服及び履物」「交通」「教養娯楽サービス」「理美容サービス」「交際費」でした。最も低い月で、前年度同月と比べて「食料(外食)」は65.7%、「被服及び履物」55.4%、「交通」73%、「教養娯楽サービス」63.6%、「理美容サービス」41.9%、「交際費」37.8%と減っています。

 この結果から10年かけて起きていた変化が、ここ1年で加速したことが分かります。一方で、この1年で突然変化が起きたわけではなく、兆しはあったことに気が付きます。

 新型コロナウイルスの流行は、外出や外食自粛などの行動の制約を招き、消費者は家の中で過ごす時間が増えました。「食料」においては、全体としては増えているものの、「外食」が減っており、その影響が顕著に出ています。また、「被服及び履物」「交通」「教養娯楽サービス」「理美容サービス」「交際費」は、どれも外出と密接な関係がある消費となり、外出の制限がこれらの消費に大きな影響を与えたことが分かります。

「おうち時間」が変えたもの

 それでは、自宅での時間が増えたことで、人々はどのようにして家の中で過ごしていたのでしょうか。ここからは実際に私がリサーチしている中で気付いた、意識の変化をご紹介します。

暇があれば動画コンテンツを見ている

 私は消費者にインタビューをする際、毎回最初に好きな時間の過ごし方を聞くのですが、最近はほとんどの人が、ドラマ鑑賞、NetflixやAmazonプライムビデオといった有料の動画サービス、YouTubeの視聴をあげます。

 かなりの確率で、動画コンテンツの話があがるので、今は本当に行動の選択肢が狭くなっている状況なのだと感じます。多くの人が同じ行動をしている、ここにヒントが隠されています。

ファッションやメイクは、よりリラックスへと変化

 日常の過ごし方として居心地の良い服装やメイクを選ぶ人が増えています。人に会う機会や外出する機会が減ったことで、おしゃれな服装やきちんとしている服装から、リラックスを意識したパジャマスーツやワンマイルウェア等の服装へと嗜好が変化してきているのです。

 また、メイクに関してはよりナチュラルなものを選ぶ人が増えています。成分はもちろん、仕上がりに関してもナチュラルさを求める方が増加傾向にあるようです。

食事の準備の負担が増えてしまった

 食に関しては、外食をしなくなった、家庭内で食事をする機会が増えたことを大きな変化としてあげる人が多いです。主婦に話を聞くと、家族の食事の準備をする回数が増えて、本当に大変でストレスに感じているという話をとてもよく聞きます。

 デリバリーやテイクアウトはもちろん、冷凍食品やミールキット等、食事の負担を軽減できる商品やサービスにより一層注目が集まっています。

意外な出会いが乏しい

 外出が制限されることにより、交友関係の限定化も起きています。会うのは家族・親類や特に親しい人、または顔を合わせる必要性の高い同僚などに限定され、また、出掛ける先も家から近い場所ばかり。

 それにより新規の出会いがなくなり、一部の人との付き合いは密接となっていきますが、予定調和な出会いだけに留まり、意外な出会いがなくなっていることに不満を感じている人が増えています。今後はその反動で、予測不可能な出会いを求める傾向が高まることが予想されます。

 

 当面、新型コロナウイルスの流行は続き、このムーブメントは継続されることが予想されます。消費者は、家の中で過ごす時間をどうやって充実させたいのか、そのためには、どのようなサポート・手助けが必要なのか。企業は消費者へどんな価値を提供できるのかを考え、コロナ時代にあわせた商品のアップデートを推進していく必要があるといえるでしょう。

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この記事の著者

犬飼江梨子(イヌカイ エリコ)

消費者心理分析専門家 マーケティングリサーチ会社 (株)イー・クオーレ代表取締役
15年間で約1万人の消費者心理を分析。「顧客が真に求めるニーズを見つけ出し、それを解決する方法を考える」ための調査に定評がある。消費者の変化に注目し、新商品開発のための調査や商品リニューアルのための調査を多数実施し、売れる商品を作るため...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/29 07:00 https://markezine.jp/article/detail/36598

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