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CX向上を実現するポイントマーケティング実践

会員数750万人の「スターバックス リワード」に学ぶ、ロイヤルティプログラムを通じたCX向上


MAを活用し顧客の嗜好に基づくパーソナライゼーションを強化

――御社はスターバックス リワードを始められる以前から多くのファンに愛され、強固なブランドを築かれていたように思います。そんな中で始められたロイヤルティプログラムの目的は何だったのでしょうか。

清水:現在、毎週500万人のペースでお客様に来店いただいているのですが、常にその規模のお客様とつながり続けるためには、デジタルを活用したパーソナライゼーションが必要だったからです。ユニークな体験を提供し、その体験を深めてもらいたいという思いもありました。お客様側にもデジタル化にともなう生活スタイルの変化が起こっていたタイミングだったので、アプリを介した1to1コミュニケーションが促進できると考え、スターバックス リワードを始めました。

 スターバックス リワードを中心にデジタル体験を提供していますが、2020年6月に導入したマーケティングオートメーションツール(MA)も弊社のパーソナライゼーションを支えるコアの1つです。それまでもセグメントに基づくコンテンツの出し分けは行っていたものの、マニュアルで抽出していたため、大きな単位のセグメントでしか分けられていませんでした。

 スターバックス リワードの会員数が増え、データが貯まってきたタイミングで「どういう嗜好のお客様がどういう情報に反応してくださるのか」という検証を重ね始めました。エスプレッソドリンクを頼まれるお客様とフラペチーノを頼まれるお客様では、心地よく受け取っていただける情報が異なるからです。検証によってお客様の傾向が見えてきたので、それを基にMAのシナリオを作成していきました。

MAで出し分けているメッセージの例(左)エスプレッソドリンクを購入する会員に向けたデカフェの訴求(右)ドリップコーヒーを購入する会員に向けたフードペアリングの訴求
MAで出し分けているメッセージの例
(左)エスプレッソドリンクを購入する会員に向けたデカフェの訴求
(右)ドリップコーヒーを購入する会員に向けたフードペアリングの訴求

従業員が「お薦めしたい」と思えるプログラムを目指す

――顧客とのつながり構築はマーケティングの要である一方、数値化が難しく成果が測りにくい取り組みでもあると思います。御社ではスターバックス リワードをどのような指標で評価されているのでしょうか。

清水:指標は大きく分けて3つあります。1つは、たくさんの人に利用されているか/売上に貢献できているかという「ビジネス軸」、2つはお客様に喜んでいただけているかという「お客様軸」、最後は店舗のパートナー(従業員)に受け入れられているかという「パートナー軸」です。

 会員数の伸長はもちろん大事ですが、プログラムの運用に直接関わるパートナーの目線が重要です。特に、モバイルオーダー&ペイは店舗のオペレーションと密接に関わる機能なので、パートナーに「お薦めしたい」と思ってもらえるかどうかは重要な指標となります

 この指標に基づいて社内向けのコミュニケーションを実施したことで、パートナー達はスターバックス リワードがもたらすベネフィットを店頭で積極的に伝えてくれています。たとえば、eTicketを利用されるお客様に対して「上限の700円以内でこんなカスタマイズが楽しめますよ」というご提案をするなど、スターバックス リワードをきっかけにお客様とのつながりを築いています。

 確かに、ロイヤルティプログラムは社内で評価がされづらく、つい目の前の売上が優先されてしまいがちです。一方、長期的な視点でビジネスを捉えると、お客様のLTV向上が成功のカギを握っています。お客様といかにつながり、どれだけバリューを上げられるのか。そのあたりを見極められると良いのではないでしょうか。

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決済体験の向上が会員のポイント利用を促進

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/08/16 11:01 https://markezine.jp/article/detail/36795

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