半年間で月刊平均5万部増!販売部数は女性誌第1位のハルメク
――現職でどのような業務やミッションを担っていらっしゃるのでしょうか。
山岡:雑誌ハルメクの編集長をしています。主に毎月の特集を決めたり、連載の新企画を開始したり、取材対象を選定したりといった雑誌の中身の最終決定を行っているほか、作った雑誌を販促するためのマーケティングの責任者もしています。また、当社は雑誌以外にも、Webメディア、講座、イベントなどをコンテンツとして取り扱っていますので、それらコンテンツ全体の事業責任者も兼ねています。
梅津:私は「生きかた上手研究所」というシンクタンクの所長をしています。「生きかた上手研究所」では雑誌・Web・イベントといったコンテンツと、通販でファッション・コスメ・食品・暮らし・インナー・健康食品・ヘルスケアといった商品開発やカタログ作りに役立てるための調査をしています。あとはシニアの意識やトレンドに関しての基礎研究や、商品が誌面に掲載されたあとの事後調査も行っています。最近はシンクタンクでの情報も生かして社外のコンサルティングやプロモーションなども行っています。
――月間平均販売部数37.3万部と、日本ABC協会が発表した2020年下半期(7月~12月)において、販売部数は女性誌で第1位だと聞いています。具体的にどのようなコンテンツを展開しビジネスを展開されているのでしょうか。
山岡:ここ4年くらいで読者が激増したのですが、主な読者である60代・70代の女性が関心のあること、悩んでいることに答えるコンテンツを届けています。美容などの女性誌的な内容もあれば健康・年金といった世代に寄せたものもあります。
最近人気の特集ですと、コロナ禍で社会のデジタルシフトが進む中、シニア女性が取り残されがちなので、スマホ操作やインターネット活用の基本を解説する特集も組んでいます。年間12号、ほぼすべての特集をご支持いただいた結果、販売部数が伸びています。
シニアの8割以上がスマホ所有 コロナ禍でインサイトが変化
――コロナ禍となり1年以上が経ちましたが、シニア女性のトレンドやインサイトの変化をどのように見ていらっしゃいますか。
梅津:会うごとにコロコロ気持ちが変わっている実感があります。この間は次のようなコメントをいただきました。
「友達と会わなくなった分、自宅でゆったりとした1人の時間を楽しむようになった。自分が本当に好きなものは何かじっくりと考えるようになった。人の言葉に惑わされずに自分がやりたいことを見たいことを優先するようになった。人付き合いのストレスがなく、ラクな反面、外の刺激があってこそ楽しかった日々を懐かしく、やはり誰かに会いたいと思ってくる。家族以外の人からの刺激が必要だと最近感じている」(70歳女性)
こういったコメントはこの方だけでなく多くいただいていて、どんどん気持ちが変わっていっています。
たとえばデジタル領域。コロナ禍も相まってシニアの間でもすごく進んでいます。人と会いたいという気持ちが、オンラインでもいいから会いたいという渇望につながり「Zoomを教えてほしい」という要望も多くいただいています。弊社の調査ではシニア世代のスマートフォン保有率は85%以上と出ています、PayPayをはじめとしたキャッシュレス決済もシニア世代には浸透しています。
最近行った調査では約6割の方が「ワクチンを接種したら、友達と気兼ねなくお喋りしたい」と回答しています。シニアの方は人とのつながりを渇望しています。1年半の長引くコロナ禍で、つながりの需要が高まっていることが調査結果にも表れています。おそらくコロナが落ち着いたらつながり消費は活気づくのだと思います。
したがって私たちは……人とのつながりをサポートし、読者がポジティブになっていただけるような商品やコンテンツを用意しておかなければいけないと思っています。