SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

全国コンテンツマーケティング探訪~現場の声からヒントを得る

担うミッションはCVだけじゃない オウンドメディア「となりのカインズさん」の秘密


 コンテンツマーケティングに取り組む全国の企業を取材し、現場で蓄積されたノウハウを学ぶ本連載。第3回は、関東を中心に全国200店舗以上のホームセンターを展開する「カインズ」(埼玉県本庄市)の事例を紹介する。同社が運営するオウンドメディア『となりのカインズさん』は、立ち上げから約1年で月間400万以上のPV数を獲得し、店舗への来店にも結び付けている。現在を「第3の創業期」と位置付けるなかで誕生したオウンドメディアは、コンバージョンを狙うだけでなく、全社改革の「旗印」の役割も担う。

立ち上げから約1年で月間400万PV以上を記録

 カインズが運営する「となりのカインズさん」には、ホームセンターらしいお役立ちコンテンツがアップされている。

同メディアには、目を引く見出しのコンテンツが並ぶ(クリック・タップで画像拡大)
同メディアには、目を引く見出しのコンテンツが並ぶ
(クリック・タップで画像拡大)

 たとえば「飯盒で上手にご飯を炊くコツ」「【ベランダガーデニング】マンションで出来るおすすめポイント」など、すぐに役立つ内容が多い。一方で、「ホットサンドメーカーに肉をぶち込むだけ。“絶望的に頭の悪い”家飲みレシピを教えよう」「信長もビックリ! ホームセンターの野望2020」など、目を引く見出しも並ぶ。

 「信長もビックリ!―」は、ホームセンター業界について解説する内容で、同社以外のホームセンターも複数取り上げている。他社を取り上げるコンテンツを掲載するのは、同社として前例のないことだという。ほかにも、オリジナルのキャラクターによるアニメも公開されており、コンテンツの種類や世界観は多様だ。

『となりのカインズさん』の記事「信長もビックリ! ホームセンターの野望2020」(クリック・タップで画像拡大)
『となりのカインズさん』の記事「信長もビックリ! ホームセンターの野望2020
(クリック・タップで画像拡大)

 同メディアは2020年6月に立ち上がった。成果が出るまで時間がかかるといわれるオウンドメディアだが、運営開始から5ヵ月で月間100万PVを達成。約1年が経過した現在では、月間400万PV以上となっている。

株式会社カインズ デジタル戦略本部 メディア統括部 部長 兼 『となりのカインズさん』創刊編集長 清水俊隆さん
株式会社カインズ デジタル戦略本部 メディア統括部 部長 兼
『となりのカインズさん』創刊編集長 清水俊隆さん

 同メディア創刊編集長を務める清水俊隆さんは、運営方針について「どうせなら楽しくやりたいという思いはもちろんある。社内には『多様な考え方を認め合おう』という雰囲気も出てきており、怒られるのは覚悟であえてずれたことをやっている」と説明する。

 清水さんが同社に入社したのは、メディア立ち上げの約半年前。古美術商を経て、建設現場の施工管理技士向け求人サイトや建設メディア「施工の神様」の立ち上げ・運営を担うなど、清水さん自身も多様な経歴の持ち主だ。「どちらかと言えば内向きの業界」(清水さん)で事業成長をリードしてきた清水さんは、「第3創業期」として社内改革に取り組む同社にとり、まさにうってつけの人物だった。

今オウンドメディアを立ち上げる目的は何か?

 1989年に創業した同社は、2007年に「第2の創業」としてオリジナルブランドを軸とするSPA(製造小売業)宣言を打ち出した。ホームセンターのあり方について模索を続け、2019年を「第3創業期」に設定。2021年度までの中期経営計画「PROJECT KINDNESS(プロジェクト カインドネス)」を発表し、同計画を達成するための取り組みの一つとして、「デジタル戦略」を策定した。戦略ではオウンドメディアの立ち上げ・成功がミッションとして掲げられ、清水さんに声がかかることとなる。

 「相当ストレスフルな作業だった」。清水さんは立ち上げまでの日々を振り返り、苦笑する。当初はユーザー分析の結果から、ペルソナを主婦としていた。メディアで扱おうとした話題も生活用品が中心。トーンについても、落ち着いた雰囲気が想定された。ユーザーの立場からメディアを設計しており、方法としては一見間違っていないように思える。しかし、清水さんのなかでは疑問が募っていった。「同様のメディアは既にあり、そこで商品も紹介してもらっている。カインズが新たにオウンドメディアを立ち上げる目的とは何か」。店舗への送客やPVに囚われず、考え直すこととなった。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
たどり着いた答えは「全社改革のためのプラットフォーム」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
全国コンテンツマーケティング探訪~現場の声からヒントを得る連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

山田 太一(ヤマダ タイチ)

エディター、コンテンツマーケティングコンサルタント。産経新聞記者、人材採用広告会社の営業を経て、クマベイスに入社。クライアントワークにあたるとともに、コンテンツマーケティングやコンテンツ戦略の海外事例を研究する。熊本県出身。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/10/19 23:53 https://markezine.jp/article/detail/36911

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング