コロナ禍でも横浜DeNAベイスターズとの接点を作り続ける
――新型コロナウイルスの影響で多くのスポーツチームは観客動員・売り上げ収益を減らさざるを得ない状況の中、横浜DeNAベイスターズは新たな収益源を求め試行錯誤されている印象でした。この状況下で、御社はどのような戦略のもとマーケティングを行っていたのでしょうか。
マーケティングにおいて軸としていたのは、お客様との接点を減らさないことです。コロナ禍の影響や来場者数の制限などで球場に来たくても来ることができないお客様に対し、SNSをはじめとした様々なオンラインの接点で横浜DeNAベイスターズとのつながりを作り続けています。
それらの取り組みが収益化につながれば理想的ですが、どのようなサービスでも収益を生むには人を集めることが先決で、収益化はその先にあります。そのため、現状は様々な顧客接点を作って集客するフェーズと捉えています。
――具体的には、どのような取り組みを行ってきたのでしょうか。
オンライン上で球団OBの解説を聞きながら試合中継を見ることができる「オンラインハマスタ」、バーチャル空間上に構築した横浜スタジアムで様々な体験ができる「バーチャルハマスタ」、SNS上での発信量の増加や動画の強化などが代表的な取り組みです。
個人的に反響が大きかったと感じているのが、YouTubeで公開された山崎康晃選手が他の選手や南場智子オーナーに突撃インタビューをする「突撃!ヤスアキマイク~みんなお家でなにしてんの?~」です。1度目の緊急事態宣言のタイミングで試合も行えない状況の中、選手の素顔を見せていく。そういった取り組みを繰り返していく中で、お客様に喜んでいただけた企画になります。
今後上手くいった取り組みにさらなる付加価値を付けることで、収益化につなげていくのが我々の行うべきプロセスだと思っています。まだ、観客動員の制限も続いており、球場に来場できないお客様も多いので、様々な部門が新しい施策に取り組み続けています。
首都圏の球団にとってオンラインメディアは重要
――SNSでの発信量を増やしたとのお話がありましたが、具体的にはどのようなコンテンツを展開していたのでしょうか。
たとえば、投球場面を1,000分の1秒のスーパースローにして、実際に投げていた選手に意識している部分を解説してもらう動画(1,000分の1秒のスーパースロー投球映像)は反響が大きかったですね。野球をあまり見たことがない人も絵としておもしろいですし、野球経験者からするとプロの投手が何を意識しているのか知ることができます。
また、敵地での試合の際は、他チームのマスコットとコラボレーションしたカジュアルな動画や他球場を舞台にしたマスコット動画を投稿し、これらも好評でした。我々のSNSでは選手を起用した動画が中心になっていたので、少し手法を変えて反響が生まれた事例だったと思います。
――横浜DeNAベイスターズは以前YouTube活用事例を取り上げさせていただきましたが、非常にオンライン上でのコンテンツ制作に力を入れていますよね。そこにはどういった背景があるのでしょうか。
ホームタウンが首都圏にあることが大きいと思います。地方球団の場合、地方テレビ局でのPRなどのほうが効果的だったりしますが、首都圏の場合テレビやラジオなどがキー局で統一されているため、中々メディア露出を獲得するのが難しくなっています。
そのため、SNSをはじめとしたオンラインメディアでの情報発信に力を入れ、口コミを広げていくことが非常に重要だと考えています。