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withコロナ時代の接客を考える

ツール導入で目指すビジョンを店舗スタッフまで共有することが重要、鳥玉に聞くDX推進の鍵


 コロナ禍をきっかけに実店舗における接客のデジタル化が加速している。一方で、店舗スタッフの業務との摩擦や顧客に受け入れてもらえないなど様々な課題もある。セルフ注文・キャッシュレス決済や、AI搭載カメラの導入を進める鳥と卵の専門店「鳥玉」はいかに店舗DXを推進しているのか?キャッシュレス決済やオンライン予約システムを提供するヘイの塚原文奈氏が鳥玉の戦略を聞いた。

鳥玉に立ちはだかったハードルは?

塚原:串カツ田中ホールディングスは2020年2月に、みたのクリエイトさんから「鳥と卵の専門店 鳥玉」(以下、鳥玉)のブランドを譲渡され、3月に子会社としてセカンドアローを設立されましたね。御社のミッションはどのようなものでしょうか?

須山:タイミング的に鳥玉を運営するための会社と思われるかもしれませんが、非アルコール業態を中心としたブランド育成や、飲食店の新しい価値や新業態を創造することが弊社のミッションの一つです。

 私自身は、串カツ田中で店舗勤務やエリアマネージャーを経て新規事業を担当する部署に所属していました。現在は鳥玉の事業責任者として、神奈川・千葉・宮城にある既存3店舗の売り上げや、今後の出店計画などを私自身のミッションとしています。

株式会社セカンドアロー 営業部 部長 須山和紀氏
株式会社セカンドアロー 営業部 部長 須山和紀氏

塚原:鳥玉では、店舗DXや接客のデジタル化についてどのような戦略をとられているのでしょうか?

須山:鳥玉は2020年の9月に横浜のモザイクモール港北に1店舗目をオープンしています。コロナ禍でキャッシュレスやセルフレジが進んでいますが、鳥玉は当初からそれらが必須であると考え、ブレずにツール導入やオペレーションの準備を進めました。

塚原:セルフレジやキャッシュレスは多くの小売店や飲食店で急ピッチに導入が進んでいる一方で、導入や教育にかけるコストを考えて二の足を踏む企業も少なくありません。御社では障壁はありませんでしたか?

須山:弊社代表の大須賀とも、常々必要性を共有していたので導入自体はスムーズでした。正直な話をすると、一番骨が折れた部分は、お客様や店舗スタッフにセルフレジなどのシステムが馴染むことでした。セルフレジ・キャッシュレスのシステムを理由にご利用を諦められたり、「決済の端末にカードを入れて大丈夫なのか」と心配されたり……私たちの描く利用イメージとの乖離が大きかったのです。

 ですから、お客様がどこに使いにくさを感じているか・注文時のネックはどこかといった意見をアルバイトから吸い上げて、ベンダーにUIなどの改修をご協力いただきました。また、店舗側としてもポップなどを活用してガイドしたり、対応をマニュアル化したりしています。

塚原:最初はハードルを感じているお客様も、一度覚えてしまえば再来店していただけるものですか?

須山:はい。今は決まった時間に必ず来てくれるご高齢の常連のお客様がいらっしゃったり、当初サポートをしていたお客様が当たり前にご自身で決済されたりしています。この表現はおこがましいですが、お客様にシステムを知っていただいて、覚えていただくことも必要だと感じています。そのためのお手伝いが大切ですね。

デジタル化が進むからこそ、人のサポートが重要

塚原:いわゆるKIOSK端末で注文・決済をセルフで来店者に行ってもらう場合、商品を注文していく過程と、支払いをする過程がありますよね。食券など注文のセルフサービスが普及していますので、やはりネックになるのは決済でしょうか?

ヘイ株式会社 取締役 CPO 塚原文奈氏
ヘイ株式会社 取締役 CPO 塚原文奈氏

須山:まだまだ注文の段階でつまずかれる方も多いです。初来店の方にいろいろと質問をいただくこともありますし、システムがあるだけで少し機嫌を損なわれるお客様もいらっしゃいます。どのようなお客さまにもご利用いただきたいので、そこは人でカバーするしかないですね。

塚原:人による対応は大切ですよね。私たちヘイはネットショップ開設やお店のキャッシュレス決済、オンライン予約システムといったサービスを提供していますが、ヘルプデスクとして電話対応も行っています。今はデジタル化に意欲的な企業がシステムを導入するだけでなく、状況的に対応せざるを得ないから始めているケースも多い。電話でのサポートがもつ役割は大きいと感じます。しかも、電話がかかってくる事業者さんの年齢層も広いので、特に強く感じますね。

 お客様対応をする店舗スタッフさんに関してはいかがですか?

須山:システムエラーやBluetoothなどの通信ができないといった「なんで動かないの?」という、アルバイトさんも初めて直面するとパニックになるような事態も当初は発生しました。都度、私に相談してもらったりシステムのサポートに問い合わせたりして、起きたトラブルと解決方法をスタッフ内で共有しながら少しずつ対処方法をブラッシュアップしています。今ではオープン作業やクローズ作業と同様に端末とアプリの再起動や、端末のキャッシュクリアなどがスタッフの業務として根付いていますね。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/22 17:41 https://markezine.jp/article/detail/37163

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