浸透の鍵はインセンティブではなく、必然性
塚原:鳥玉さんはフードコートにテナントがありますが、LINEで呼び出しの通知を飛ばすシステムも利用されていますね。これも良いシステムですよね。通常、LINEの登録やアプリのダウンロードを促す際はインセンティブが必要ですが、非接触で順番がわかるという明確な利便性があるため、自然と「使ったほうがいいか」と思えます。

須山:そうですね。3店舗累計で約25,000人にご登録いただいており、資産になっています。LINEにご登録いただいた方には再来店意向や味などをアンケートで伺っていて、それも一つKPIになっています。データも蓄積されているので今後プロモーションなどにも活用していきたいと考えています。
また、このシステムはアルバイト側も「登録してもらったほうがいい」と判断してくれました。お客様が呼んでも来てくれないといったことを防げますから。自主的に登録を勧める文言を考えてくれたり、みんな必ずこれは言おうとスタッフ内で話し合ってくれています。ただ、これは私たちがスタッフ側のメリットを伝えたというよりも、自分たちで見いだしてくれた側面が強いですね。
塚原:店舗DXは様々な方法がありますが、いかにオペレーションに自然に組み込められるかが肝要ですよね。スタッフに損得の判断をさせるというより、全部得だと感じてもらえるようにすることが大切だと思います。
オペレーションの精度上げ、売上と顧客満足の向上目指す
塚原:最後に、今後の展望を伺えますか?
須山:現状ではKPIとしてもサービスの中身としても、まだ100%満足できる状態ではないので、引き続き磨いていきたいです。また、オペレーションについてもカメラでのデータは蓄積されていますので、今後、精度を上げていきたいと思います。それが、売上と満足度両方の向上、ひいてはブランドを良くしていくことにもつながると考えています。
塚原:お話を伺って店舗DXを推進する上では、「何の目的でこのツールを使っているか、その目的を達成したらどのような未来が待っているのか」というビジョンの共有を隅々まで行うことが重要だと改めて感じました。興味深いお話をありがとうございました。