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購入者数増・解約防止…最新の国内事例で知る、サービスグロースの鍵を握る「プロダクト解析」

サービス成長を加速させる行動分析ツール「Amplitude」

 「サービス改善や顧客のロイヤリティを高めるには顧客の行動を理解することが必要不可欠」と石黒氏は強調する。

 まずデモグラやサイコグラフィック情報でユーザー像がぼんやりと浮かんでくる、さらにその人たちがどこから来訪し何を閲覧しているかがアクセス情報で見えることで、その姿がもう少し見えるようになる。そして、「継続利用するユーザーの行動」や「購入単価の高いユーザーの行動」などのユーザー行動情報や特徴量を得ることで、ユーザーに求められていることやサービスを継続的に利用してもらうために何をすべきかが明確になるといった具合だ。

 サービス成長における行動を分解したフレームワークAARRR(アー)モデルでは、獲得(Acquisition)、活性化(Actibation)、継続(Retention)、紹介(referral)、収益(Revenue)のステップごとに課題を抽出し、解決していく。プロダクト解析は主に活性化・継続・紹介・収益での課題解決を担う。

 しかし、アクセス解析と比べ、より深い洞察を得る必要があるプロダクト解析は時間がかかる。その問題を解決する手段として、石黒氏はユーザー行動分析ツール「Amplitude」の導入を挙げる。

 Amplitudeの大きな特長に、特徴量やマジックナンバーを簡単に抽出できてサービス改善の示唆を出すことが可能な点がある。加えて、SQLが不要なため専門の分析チームがなくても利用でき、数日~数週間かかっていた分析が数分で完結する。外部ソリューションとの連携も簡単で、ロイヤルユーザーリストを作成してMAツールや広告へ自動連携することも可能だ。

 「明確な改善示唆が従来の何倍ものスピードでできます。そのため、分析から施策を打つところまでかなりスムーズになり、サービスの成長を加速させられるのです」(石黒氏)。

 なおAmplitudeはGAFAMの内3社を含めた、全世界で4万サービスの導入実績があり、米国のユニコーン企業として非常に注目が高まっている。米国市場では、このAmplitudeをプロダクト解析ツールに、アクセス解析(GoogleアナリティクスやAdobe Analyticsなど)、BIツール(ビジネス指標集計)の3つの分析ツールを使うのがスタンダードになっているのだという。

 セッションでは、Amplitudeを使ってデモンストレーション形式でプロダクト分析の手順を教えたあと、4つのグロース事例が紹介された。

事例1:「購入者数を増やす」ファッションEC

 1つ目のファッションECを運営するストライプデパートメントは、収益増のため購入者数を増やすことを目的にAmplitudeを活用した。

 まずはペルソナ分析で、購入経験のあるユーザーを4つのクラスターに分類。その中で2回以上購入するユーザーを多く含んでいたクラスターA(=ロイヤルユーザー)は、閲覧履歴の利用が他のクラスターに比べ圧倒的に多かった。

 そこで、閲覧履歴をより使ってもらうと購入回数が増えていくと仮説を立て、ユーザージャーニー分析で閲覧履歴に至る行動を見ていくと、48%が閲覧履歴の前に商品詳細を閲覧していることがわかった。一方、そのページから閲覧履歴へのリンクがなかったため、導線強化が施策案として浮上した。

 さらに、購入経験のあるユーザーの利用する機能も比較。具体的には閲覧履歴とお気に入り機能を比較したところ、利用者数、購入率ともに閲覧履歴で高い有効性が証明された。加えて商品詳細ページ下部のメニューにある「お気に入り」を「閲覧履歴」に変更したA/Bテストを実施。

 その結果、閲覧履歴リンクの方が、カート投入率、CVR、購入者数などいずれの数値においても良い数字があらわれた。

 「いまは分析結果をもとに、どうサイトを改善するか検討しているところです。驚くべきは、今回行ったクラスター分析だけでもSQLを使うと通常2~3週間かかるところ、Amplitudeを使って結果を出すまで15分ほどで終えられた点です。PDCAのPの部分をかなり短縮できました」(石黒氏)

次のページ
事例2:「定着ユーザーを増やす」会員向けアプリ

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/25 18:08 https://markezine.jp/article/detail/37377

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