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デジタルマーケティングにおける「Humanity=人間らしさ」の実現

「人間らしいブランド」に備わっている特徴とは?定量調査から理解する

 世界のマーケティング業界で今、「ヒューマニティー=人間らしさ」が改めて注目されています。一方、BrazeとForresterの調査で明らかになったのは、「日本は最もデジタル上の顧客接点で人間らしさを経験していない国」ということでした。コミュニケーションの多くがデジタルへと移行する中、マーケターはどのように、ブランドに人間らしさを実装していけばいいのでしょうか。本連載ではその「人間らしさ」を定量的に捉え、実現のための材料を提供します。

コトラー氏の新著でもHumanityへの言及が

 2021年、マーケティング業界において世界的に盛り上がったトピックの一つに、「人間らしさ」があります。その一つの理由が、現代マーケティングの父・フィリップコトラー氏の著書 "Marketing 5.0: Technology for Humanity" であることは間違いないでしょう。現時点では日本語での出版が行われていないようですが、世界的なベストセラーとなっています

 同書ではタイトル通り、企業が信頼を獲得するためのマーケティングにおけるテクノロジーとヒューマニティーの融合の必要性が説かれています。また、人間らしさの実現の要素として、アジリティー、予想検知、データドリブンなどを挙げ、実現のためのマインドセットや実例を紹介しています。

 また、デロイトの2021年グローバルマーケティングレポートでも、企業は人間らしさを理解し、組織の価値観に落とし込むべきであると述べられています。さらに、PwCの2019年調査でも、人間らしさの欠如について言及されています。世界の59%が「企業がテクノロジーに集中しすぎて人的要素を持った接点を失った」と訴えているようです。英語で「marketing humanity」と検索すると、このテーマが世界でいかに重要なトピックとして扱われているかがわかります。

 一方「ヒューマニティー=人間らしさ」には、曖昧で実体が掴みにくい側面もあります。特に日本語で「人間らしさ」と言うと、信念や倫理といった観念的なものと受け取られることも少なくなく、それが実務の現場での扱いにくさにつながっているように見受けられます。

 そこで本連載では、メールやチャットツール、広告など、企業とお客様の間のあらゆるチャネルでのコミュニケーションを通して「人間らしさ」を実現するにはどうしたら良いか、を具体的に検討していきます。

ブランドの「人間らしさ」は、購入やファン化に寄与する

 BrazeとForresterは、デジタル接点における「人間らしさ」を定量的に理解する試みとして調査を行いました。具体的には、消費者が「自分はこの企業・サービスと良い関係にある」と感じるための感情的要因と機能的要因を因数分解して分析。以下の結果を得ました。

・企業のコミュニケーションが人間らしく、インタラクティブであればあるほど、ビジネスの成功率は高くなる
・消費者は、メッセージングをパーソナライズし、自分の特定の関心事に対応しようとする企業の努力を評価する

 この結果を見てまず思い浮かぶのは「人間らしさというものは本当に売上につながるのか」という疑問ではないでしょうか。ビジネス成果に関する調査結果も要約すると、人間らしいコミュニケーションを実現することで、以下のような成果が期待できます。

・商品やサービスの購入率が1.6倍になる
・ファンになる(好きになる)確率が2.1倍になる

 さらに、満足度や推奨度などの項目でも、多くの効果が期待できることが明らかになりました。

 この数字は決して小さくありません。人間らしさを実現することは、ビジネスを加速するためのドライバーと言えます。

 では、人間らしさをどのように定量化し、このような結果を導いたのか。国ごと・産業ごとの傾向とは。そして人間らしさを高める「ドライバー」となる要素は、何なのか。ここから詳しく解説を進めていきます。

人間らしさを計測するための指標を作成

 今回の調査結果はここからが本番です。調査設計において、BrazeとForresterはまず「人間らしさ」を定義し、細分化し、分類しました。

 本調査では、人間らしさを「企業が自然なコミュニケーションを取れること。つまり実際の人間が話すような人間らしいコミュニケーションを取ることができる」ことと定義しました。もう少しかみ砕くと、以下のことを指します。

・ユーザーのニーズや状況、その企業との過去のやり取りなどを理解する
・その理解に基づき、適切なタイミングでコミュニケーションが行われる
・時に、必要に応じて型にはまらない方法でコミュニケーションが行われる

 この定義を基に、デジタル社会において人々が「人間らしい」と感じる要素を抽出。以下のように「感情」と「機能」に関する48の要素を洗い出しました。

感情的な要素属性:「親しみやすい」「思いやりがある」「楽しい」など30の要素
機能的な要素属性:「私の時間とビジネスを大切にしてくれる」「私の好き嫌いを理解してくれる」など18の要素

 その後、機能的な要素属性をさらに3つのカテゴリーに分類し、合計4つの大カテゴリーを設定しました。「感情的な要素属性」「自然なコミュニケーション」「思いやり」「パーソナル」の4つです。

 これらの4カテゴリーで、企業が顧客に対して人間らしさを感じさせる属性を数値化しました。本調査では、これをブランド・ヒューマニティー・インデックス(以下、BHI)と名付けています。インデックスと名の付く通り、この分類は、これまで数値化されていなかった「人間らしさ」という要素を数値化し、比較可能にしたものです。

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日本は、デジタル上で最も人間らしさを“感じられていない”国

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デジタルマーケティングにおける「Humanity=人間らしさ」の実現連載記事一覧
この記事の著者

森田 恭平(モリタ キョウヘイ)

Braze株式会社 ソリューションコンサルタント。アドビにて数々のマーケティングのソリューション部門の立ち上げとマネジメントを経験。グローバル最大の売上記録を残すなど成果を収める。国内におけるパーソナライゼーションの黎明期からの第一人者として、多くのエンタープライズへ導入を主導。2021年、ソリューションコ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/03/03 08:30 https://markezine.jp/article/detail/38354

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