※本記事は、2022年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』75号に掲載したものです。
「最も忙しい部署」を希望し、経験を積んだ20代
株式会社リコーグラフィックコミュニケーションズ デジタルサービス事業センター
企画推進グループ 今村綾子(いまむら・あやこ)氏ブラザー工業へ入社後、欧米向けの営業企画・商品企画や新規事業に15年間携わったのち、ブラザー販売へ出向。2019年にBtoBマーケティングG組織を立ち上げ3年間で売上を急成長させた。2022年2月より現職。
――最初に今村さんの現在のお仕事についてお聞きしてもよろしいですか?
私は現在、リコーのグラフィックコミュニケーションユニットに在籍しています。商用印刷や産業印刷の領域で、お客様の業務効率や価値を最大化するソリューションを提供している部門です。私が担っているのはグローバルマーケティングという仕事で、海外の事例を日本に展開したり、逆に日本の事例を海外へ共有したりして、営業活動をサポートするとともに、お客様のニーズを分析し、より高い価値を創出できるよう動いています。
――ありがとうございます。続いて、これまでのキャリアについて教えてください。
キャリアの初期からマーケティング職に就いていたわけではありませんでした。大学卒業後、ブラザー工業に新卒入社し、20代は営業企画部や商品企画部で経験を積みました。社会人になりたての頃は職種に対する明確なイメージがなく、配属時の面談では、「とにかく一番忙しい部署にしてください!」とお願いしたのを覚えています。配属先では販売促進やKPI、商品仕様などを決めるため、販売会社(欧米)との議論などを進めていました。確かにとても忙しく、多くの人と接する機会に恵まれました。
やがて30代にさしかかる頃、そうした人との出会いや様々な本に刺激され、自分のキャリアについて考えを巡らせるようになっていきます。自分のこれからを想像し、経営や戦略策定のスキルを身につけたいと休職し、イギリスのビジネススクールでMBAを取得しました。
修了後はブラザー工業に復帰。学んできた知識も活かしたかったため、商品企画の中でも新規事業を開発する部署で仕事をしましたが、3年ほど勤務した後、あるジレンマを感じるようになっていたんです。商流として、販売会社や代理店の営業を通じてお客様にお届けする構造だったため、お客様の意見や評価が見えづらかったんです。また、販売実績がない新しい製品においては、お客様に届ける前に、製品を売ってもらうための営業への理解や動機づけも必要になってきますが、どうしても営業にとって売りにくいモノの扱いになってしまいます。「お客様のお役に立ちたい」と作った製品を、広く届けることができない。このジレンマを乗り越えるためには、営業活動以外にもお客様とつながり、価値を伝える仕組みが必要になります。そう考え、販売会社であるブラザー販売へ出向し、マーケティングの仕組みを作りたいと希望したんです。