※本記事は、2022年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』75号に掲載したものです。
以下8名の方からコメントをいただきました。
GumGum Japan 若栗直和氏/電通 越智一仁氏/博報堂 増田昌弘氏/
Peecan 鋤柄直哉氏/プレイド 川久保岳彦氏/ Marketing Demo 石井賢介氏/
ユートラスト 大前宏輔氏/良品計画 篠原佳名子氏
時代が変わっても変わらない、広告の本質を学べる1冊
私がおすすめしたいのは、『Ogilvy on Advertising』です。
邦題は『「売る」広告』ということですが、そこから察せられる以上に充実した良い書籍です。私が以前働いた会社の創業者であり著名な広告人であるDavidOgilvyが40年近くも前に書いたものですが、広告というものの本質的な役割や使命、効果的な広告を作るためのヒント、継続的な実験や検証の重要性、採用を含む経営にあたる心構えなど、さまざまな示唆に富んでいます。書かれた時代が時代なので、本の中に出てくる例などは古臭さを感じるものも多いのは禁じ得ませんが、書かれている趣旨そのものは現在・将来にも通じるものだと思います。
正直なところ、私がこの書籍をちゃんと手に取ったのは割と近年のことです。その当時も内容に感銘を受け納得したのは覚えていますが、いま改めて読み返すことで、この本の価値がもう一歩理解できたような気がしています。広告主・広告会社・広告ベンダー、若手・中堅・ベテラン・リーダーを問わず、広告に携わるすべての皆さんにおすすめできる書籍だと思います。
GumGum Japan株式会社 マネージング・ディレクター 若栗直和氏
「発信すること」の意義と価値に向き合う1冊
いわゆるマーケティング指南書ではありませんが、コミュニケーション、特に発信の極意が詰まった1冊です。
なにを? だれに? どう? なぜ? 書くのかを、軽妙なユーモアを交えながら、読みやすくまとめてあります。
同書の中にある、「定義をはっきりさせよう」「物書きは“調べる”が9割9分5厘6毛」などは、恥ずかしながら、言葉を書くことのある職業に就いているにもかかわらず、強く意識したことがありませんでした。その他、「書く」における心得がいくつも記されており、自ら何かを発信する欲求をくすぐってくれます。また、途中に設けられた「文章術コラム」が楽しく実用的です。「広告の書き方」「履歴書の書き方」などは、マーケティングスキルにも繋がるTIPSが詰まっており、すぐにでも仕事に活かせそうな示唆に富んだ内容となっています。
書く上で、学ぶこと、人々への愛と敬意を忘れないこと。それが人を孤独から救ってくれるし、人生を幸せなものにしてくれると田中さんは記しています。それは人を相手にするマーケティングにも、欠かせない姿勢だと思います。読んだ後、クリエイティブに対するモチベーションが上がるおすすめの1冊です。
株式会社電通 クリエーティブ・ディレクター 越智一仁氏