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MarkeZine Day 2022 Spring(AD)

動画業界全体を知ってもらうための情報発信を NewsTVが考える効果的なコンテンツ活用術

 コロナによって顧客のデジタル化が加速する中、データ活用に力を入れる企業が増えている。データを活用することによって求める成果の1つが自社Webサイトのコンテンツ強化と、それに伴う顧客層の拡大だ。3月に開催されたMarkeZine Day 2022 Springでは、「顧客に選ばれるための信頼関係構築のための施策とコンテンツの考え方」をテーマに、NewsTVの酒井葉子氏がその具体的な施策について、SATORIの豊川瑠子氏と語り合った。

非対面でのビジネスでは、コンテンツが重要

豊川:SATORIはマーケティングオートメーションツール「SATORI」の開発・導入・運用支援をしている会社で、私自身はマーケティング製品を提供する一ベンダーの立場でもあり、マーケティングに関わる一担当者でもあります。私自身も試行錯誤しながらマーケティング業務に携わっていますので、今日は皆さんと同じ視点で、ゲストの酒井さんにいろいろな疑問やどうしたら前に進めますかというところをぶつけていきたいと思います。

SATORI株式会社 マーケティング部 マーケティンググループ グループ長 豊川 瑠子氏
SATORI株式会社 マーケティング部 マーケティンググループ グループ長 豊川 瑠子氏

 コロナによって顧客のデジタル化が加速しています。顧客が購入検討する際、情報収集の手段として非対面、デジタルを好むという状況が普遍的になるのではないかと言われています。デジタル接点が増えた昨今では、会わずしてお客様が求めていることや態度変容をキャッチするために、データ活用に取り組まれている方が多いと思います。データを活用して求める成果の1つが自社Webサイトのコンテンツ強化です。非対面という状態で顧客の興味や環境を知り、関係性を深めていくためにも、コンテンツは非常に重要なのです。

 NewsTVの酒井さんは、コンテンツに対する一貫した考えのもと、限られたリソースの中で様々なチャレンジをされています。本セッションでは、具体的な戦略・施策について、酒井さんにお話しいただきます。

酒井:NewsTVの酒井です。広報とマーケティングを担当しています。NewsTVでは動画の制作から配信までを一貫して承っています。動画は無償で制作しており、最短で取材、動画制作、配信までを即日対応することも可能です。情報がフレッシュなうちに動画というスタイルで届けることができます。

オンラインに振り替える際、効率的に役割を分担

豊川:コロナでリアルのイベントが開催できなくなり、ウェビナーに切り替えたものの、いまいち成果を感じられていないお客様が多いように思います。酒井さんは成果を出すためにどのように工夫されていますか?

酒井:当社も2020年春頃から対面でのイベントが中止になり、オンラインに振り替えて開催せざるを得なくなりました。オンラインに振り替える際に、既存の組織や人員構成でできることが限られるため、まずは効率的に分担していくことにしました。

NewsTV株式会社 広報・マーケティング室 室長 酒井 葉子氏
NewsTV株式会社 広報・マーケティング室 室長 酒井 葉子氏

豊川:組織で分担とのことですが、NewsTVさんは創業当時、マーケティングとインサイドセールスが役割を兼務されていましたが、その後、営業部門側にインサイドセールスの機能が移っていますよね。認知拡大から有望リード獲得という御社のマーケティングチームの役割自体は変わりないのでしょうか?

酒井:弊社は2月が期末なので、2022年の3月から新しい取り組みを始めています。その中で、インサイドセールスの一部の機能をマーケティング部門側が担うことになりました。

 弊社にはインサイドセールスという組織自体はないのですが、その機能は必要なので、営業部門側かマーケティング側で役割分担をしています。組織としては「インサイドセールス・営業」ではなく「営業・マーケティング」という形です。

 インサイドセールスという役割は大事なので、できれば独立した組織として置きたいという考えもあります。ですが、組織を突然変えるのではなく、まずは役割として認識をして、その都度今ある組織の中でうまくみんなで分担していこうという考え方で進めています。

興味を持ってもらうための施策を優先

豊川:マーケティングは酒井さんを含め2名だと伺いました。限られた人数でたくさんの施策を回していく上で、優先順位はどのようにつけているのでしょう?

酒井:「最終的に求めるものに対してどれだけインパクトが強いか」が1つの判断基準だと思っています。弊社の場合は、前期は全社の売上とマーケティング施策経由で入ってきたリードから創出された売上、リードの獲得数の3つのKPIを置いていました。売上につながるリードであることが重要なので、できるだけ深くお客様に興味を持っていただくための施策を優先して進めました。

豊川:顧客の購買プロセスの一例(図参考)として、顧客が課題の認識を持ってセミナーに参加し、そこから資料ダウンロードや問い合わせをして、その先に商談がある場合、売上につながる指標を仮に商談に置いたら、優先すべきKPIは酒井さんの中では商談といった図の右寄りであるべきということですかね。

酒井:豊川さんが今おっしゃったプロセスは、お客様が一歩ずつ順調に歩んでくださったパターンですよね。一方、当社の場合はセミナーの参加からすぐに商談というお客様も多くいらっしゃいます。ですので、各段階を踏まれるお客様と、短期で商談までいらっしゃるお客様の過去の比率を導き出して、そこから一番注力すべき施策を1ヵ月に1回の頻度で見直しながら調整しています。

 全社的には上期と下期で半年ごとの計画を立てるのですが、私の手元で、大体週に一度は見直しています。セミナーに参加いただいた方の人数が目標より多かったか少なかったか、商談数の目標に届いたかどうかといった部分を見て、翌週や翌月の施策を決めているのです。

リーディングカンパニーとしての情報発信を心がける

豊川:セミナーから商談につながるケースもあるそうですが、そのセミナーの内容が自社のサービスを紹介するものではなく、もっと遠いテーマのコンテンツであっても、商談や受注が生まれているのでしょうか?

酒井:はい。当社では今、ダイレクトに自社サービスを紹介しないウェビナーやコンテンツに一番力を入れています。やはり自分が参加者の立場に立ったときに、参考になる情報が絶対欲しいと思うので。

 NewsTVとしては、動画を使って皆さんの生活を豊かにしたいという思いがあります。動画領域やデジタルマーケティング領域のリーディングカンパニーとして皆さんにいろいろな情報発信をしたいと考えています。その中で「NewsTVがいいな」と思っていただき、ご利用につながれば嬉しいですね。皆さんと一緒に一歩ずつ歩んでいけるような、コンテンツ発信を今後もしていきたいです。

豊川:業界の中での信頼をお客様から勝ち得ることが一番重要ということですね。信頼を重ねて、お客様が必要を感じたタイミングで思い出してもらえる状態をいかに作るかが大事だと共感します。

情報を探している顧客にきちんとアプローチをする

豊川:コンテンツ活用についても伺っていきたいと思います。コンテンツを作ったものの、使いあぐねるケースもありますよね。作成したコンテンツでどのように成果につなげていくのか。酒井さんの事例はありますか?

酒井:コンテンツ活用におけるお客様の態度変容を見ていくと、サービスに興味を持っていただけるタイミングはお客様によって異なると感じます。たとえば、決算期や担当者の変更などのタイミングが考えられます。ただ、お客様がどういった環境であっても、我々がどのようなポリシーを持っていて、どういったサービスを提供しているかを、検索いただいたときにすぐにわかる状態にしておくことは重要です。

 ですので、今当社がコンテンツとして一番優先的に作っているのは、情報収集のタイミングで情報をしっかり探しているお客様に対してきちんとアプローチができるようなものです。たとえば、NewsTVが何をしているのか、そもそも動画広告とは何なのかといったようなコンテンツをオウンドメディアに載せています。

 そして、これらのコンテンツをご覧いただいた方にはもう少し深い情報のある媒体に誘導したり、メルマガ登録していただいた方にはメールマガジンで情報をお送りしたりしています。ウェビナーの中でも、基礎的なコンテンツについて紹介をしています。

動画配信業界を知ってもらうための発信

豊川:では最後に、今後の取り組みについて。SATORIでは、コンテンツに絞って言うと、今まで「担当者軸」を強化してきましたが、これからは質の高い情報を届けることによってお客様との信頼関係を築いていくために、「個人軸」を重要視してもっと厚くしていこうと考えています。NewsTVさんはいかがですか?

酒井:動画業界全体をもっと知ってもらう必要があると考えています。そこで、他の動画会社さんとウェビナーを共催して、それぞれの企業やサービスの特徴、どういうところで使っていただくのが一番効果的なのかという話をしています。

 また、特に今はNewsTVや私自身についてまずは知っていただくということに注力しています。今日もノースリーブを着ていますが、「ノースリーブマーケター」という私の肩書きをできるだけ皆さんに浸透させていきたいなと。興味を持っていただくきっかけになり、そこから知っていただいてご縁に繋げられればといいなと思っています。私自身、自社ウェビナーを含めて動画配信を週4回実施しています。ご興味ある方はぜひご覧ください。

豊川:酒井さんは認知のための動画配信も初期の段階からスタートされていますが、小さくトライアンドエラーを重ねられ、成功はもちろんエラーも糧にして着実に成果へつなげていらっしゃいます。酒井さんのこのようなお姿も、限られたリソースでコンテンツマーケティングに携わる方のヒントになるのではないでしょうか。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/19 10:00 https://markezine.jp/article/detail/38672