※本記事は、2022年8月25日刊行の定期誌『MarkeZine』80号に掲載したものです。
マーケティング後進をゆくアパレル業界
──藤原さんは2021年にユナイテッドアローズに入社されました。CDOとしてジョインした藤原さんのミッションは?
CDOなので社内のデジタル化はもちろんですが、全社のDX推進による企業価値の最大化が私の一番大きなミッションです。2021年に社長に松崎が就任した際、全社の戦略として、DXとサステナビリティの2つが最重要項目に定められました。このうちDXの部分を私が担い、DXに関する全社の戦略や施策を統括して見ている形です。短期的なミッションについては、昨年は自社オンラインストアおよびスマートフォンアプリのリニューアルがあったので、そのプロジェクト進行・統括に従事していました。同時に、マーケティング組織の体制移行なども行ってきました。
──藤原さんがジョインされた当時、マーケティングの組織はどのような状況だったのですか?
もともとアパレル業界には、マーケティングという概念があまりありません。流通、小売りの業界にも同じことが言えると思います。当社もいわゆるプレスと呼ばれる方たちがソーシャルメディアを運用したり、デジタルマーケティングの部署でEC売上のグロースを目的に広告を運用したり、EC上で接客ツールを運用したりといったことはやっていたのですが、これらをまとめて見るマーケティングの部署自体、そもそもありませんでした。要は、ユナイテッドアローズとして統合的に一気通貫でマーケティングのストーリーを作ることができていなかったわけです。
もう一つ、ハウスカードという会員基盤で顧客データは取れているものの、顧客が見えている状態とは言えませんでした。作った商品をいかに買ってもらうか? というプッシュ型のマーケティングが基本で、リサーチをもとに戦略を立てるという考え方もありませんでした。