個別最適から全体最適を目指せる組織へ
──それが2021年4月時点の状況ですね。そこからどのような取り組みを?
マーケティング領域の細かい話で言うと、各人が全体戦略の中で動けるようになっています。たとえば、広告運用のチームも、ROASだけを見るのではなく、全体設計のコミュニケーション戦略として広告が何をすべきか? から入っていく。もちろん、数字を追求することも大事ですが、「CVRは上がったけど、LTVは下がってしまった」といったことは意味がないわけです。このように各部署が全体最適に向かって動けるよう、LTVを最重要KPIとして設定したのもひとつ大きかったと思います。
また、今年の4月から会社の体制が大きく変わり、事業部制の組織から機能性の組織へ移行しました。昨年度までは、ブランドごとに組織が分かれていたのですが、現在は店舗接客の店舗を有する「CX GROUP」、商品の企画制作を行う「CREATIVE GROUP」、僕がリードする「DX GROUP」の3つに分かれる形となっています。「DX GROUP」には、広報PR、デジタルマーケティング、EC、情シスの本部が紐づいており、BtoC向けのコミュニケーション全般とITの機能がまとまっています。
──マーケティング関連部署を統合しながら改革を進めてこられたわけですが、ドラスティックに改革を進める際大切にしているポイントなどありますか?
「現場の声を聞く」とか「みんなを巻き込む」みたいなことはよく聞きますが、これができていないと何もできないので、現場を巻き込むのは当たり前だと思います。その上で僕が大切だと思っているのは「スピード感をもってやる」ということですね。具体的には、細かい話になりますが、部下からチャットで連絡がきたらすぐに返すとか。施策自体をスピーディに回すというのもまた当たり前の話なので、僕自身の日々の行動やチームに求める行動に対するスピード感を徹底しています。
あとは、これに関連して、「完璧を求めない」ということも意識しています。完璧を求めると、時間がかかってしまうからです。たとえば、納得いくまでリサーチをするといったことは絶対になしです。小さく始められることは、とにかく早くやってみて、改善を重ねていくほうが効果的だと考えています。
──個別最適で動いていた部署がいきなり連携して動くというのは、なかなか難しいのでは?
それはもちろん、動けないです。いきなり「変えてください」と言っても、日々の行動に関する部分は特にそう簡単に変えられないものです。それに対して僕ができるのは、環境を少しずつ変えていくこと。たとえば、会議の形だったり、上長への報告の仕方だったり。今日までに変えてきたことは大中小ありますが、少しずつ整えてきました。まだまだ道半ばで、僕よりも部下たちのほうが感じるストレスは大きいと思いますが、これらは組織を変えるときに必ず通る道です。ここを通り抜ければ、とてもよいチームになるのではないかと期待しています。