顧客の75%を個人単位で識別
——熱狂的なファンをつくるために取り組んでいる具体的な施策を教えてください。
CRISPではデータドリブンな経営を推進しています。ここへ至るまでにふたつのフェーズを経ました。第1段階がデータの収集フェーズです。約1年をかけて進めてきました。第2段階がデータの活用フェーズ。集めたデータを基にどういうアクションを起こすのか、試行錯誤を重ねてきました。この半年でようやく「型」ができてきたと感じています。

CRISPでは、約75%のお客様を個人単位で識別しています。売上の約40%がアプリを介したモバイルオーダー経由のため、どなたがいつ何を注文されたか把握できるわけです。残りはキオスク(店頭のタブレット)経由ですが、キオスクでの注文時も電話番号の入力は必須なので、個人は識別できています。
性別や年代といったデータも大切ですが、お客様の傾向を掴むためにはその人自身、つまりセグメントではなくパーソナライゼーションが大事だと考えます。市場調査のデータをベースに「今年はぶどうがトレンドらしいから、ぶどうを使った新メニューを出そう」というアプローチでは、その新商品が「売れたかどうか」はわかっても「どんな人が買ったのか」まではわかりません。何よりその新商品を販売したことによって、お客様のフリークエンシーが加速しているのか、減速しているのかが測れないのです。
パートナー向けのアプリで接客データも全店共有
2022年4月、CRISPで一番売れているメニューをリニューアルしました。前々から「ボリュームが少ない」というフィードバックを寄せてくださるファンが多いメニューだったんです。ボリュームを変えてリニューアルしたところ、お客様からの評価ポイント(GOOD率)が上がりました。「お客様の声を基に」という言葉をよく耳にしますが、声を寄せてくれた人が誰なのかわからなければ、施策に反映できませんよね。初来店のお客様からの声とリピーターのお客様からの声では、こちらの受け止め方も違ってきます。
データ活用を突き詰めると「PDCAをいかに速く回せるか」という点に帰結すると思います。極端な話、紙でアンケートをとっても良いんです。ただそれではデータの収集に時間がかかるため、CRISPではアプリを活用しています。お客様の購入情報は決済の15分後に必ず反映されますし、お客様のフィードバックも送信の15分後には社内で把握できるようになっています。タイムラグや無駄な摩擦を減らすのがテクノロジーの役割ではないでしょうか。
テクノロジーは店舗内でも活用しています。お客様を識別できているため、パートナー(店舗スタッフ)はオーダーを受けた際にその方の利用回数がわかるほか、購入時に入力されたニックネームで呼びかけることも可能です。パートナー向けのショップアプリでは、接客データも全店で共有。たとえば、ある店舗で「野菜を大きめに切ってほしい」というリクエストをした方に、別店舗でも「野菜を大きめに切りますか?」と提案することもできるんです。