動画配信サービスの需要とともに拡大する「CTV広告」市場
新型コロナウイルスの影響により、私たちの生活スタイルはそれ以前の環境から大きく一変しました。リモートワークなどが常態化する中、多くの人が外出を控えるようになり、結果として家の中で快適に過ごすための巣ごもり需要が拡大しました。動画配信サービスの需要拡大もそのうちの一つです。
広告配信チャネルの増加にともない、広告費の消化傾向にも変化が現れています。ビデオ広告市場規模は2021年には5,000億円を突破し、2022年には6,000億円を超えると予想されています(参照元:電通デジタル プレスリリース「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析-CCI/ D2C/電通/電通デジタルが共同でインターネット広告媒体費の詳細分析を実施-」2022年3月9日)。
動画配信サービスの普及にともない、今後ますます注目が予想されるのがコネクテッドテレビ(以下、CTV)を媒体とする動画広告市場です。2020年から2021年にかけて、動画配信サービスによるCTV視聴が拡大したことで、CTV広告の市場規模も対前年比337%と大きく伸長し、今後も高い水準での成長を継続すると予想されています(参照元:SMN プレスリリース「SMN、国内コネクテッドテレビ広告市場調査を発表~2021年のコネクテッドテレビ広告市場は前年比約3.4倍の344億円、2025年は1,695億円に成長~」2022年3月29日)。
そもそも、CTVとは何か?インターネット上で配信されるコンテンツ配信サービスの総称をOTT(Over-The-Top)と呼びますが、そのチャネルの一部としてCTVがあります。CTVは、Amazon Fire TVやPlayStationといったスマートテレビやゲーム機などの接続機器や専用機器を介して、インターネットに接続された家庭用の大画面テレビなどのテレビセットを指します(下図参照、DoubleVerify Japan作成)。
CTVによる動画視聴の拡大は世界的な傾向となっています。特に米国では、2022年には2億2,000万人以上のユーザーが存在すると予測されています(参照元:eMarketer「US Connected TV(CTV)Users, 2022-2026」2022年9月)。
そのターゲットの多さから今年初めて、米国のデジタル動画広告費の3分の2以上をCTV広告が占めると言われています。別の見方をすれば、デジタル動画広告費の大半は、動画配信サービスに流れていることになります。CTVは、デジタル広告予算の中でより大きな割合を占めるようになっています。
CTVでの広告品質検証(アドベリフィケーション)の必要性
CTVの普及にともない、CTV広告は、その高い視認性(ビューアビリティ)や、リビングルームにおける複数ユーザーによる視聴が可能である点など、これまでのデジタル広告にはない新たな付加価値を持つ広告商品として期待されています。そのため、今後広告主からのCTV広告における需要が高まっていくと予想されると同時に、広告配信面における広告の品質がこれまで以上に問われると予想されます。
CTVにおいては、広告配信技術や品質測定基準といったテクノロジーが、業界的にいまだ開発途上であり、業界標準の規格や仕様がまとまっていないのが現状です。だからこそ、独立した第三者によるベリフィケーション(検証)を通じて、広告主および広告代理店自身が広告品質の担保・向上を意識することが求められます。
ここからは、CTVにおける、広告品質の課題をそれぞれ見ていきましょう。