顧客起点のCRM実現に必要なこととは?
――顧客起点のCRMが重要とのことですが、実現にはどういった取り組みが必要なのでしょうか?
菊地:企業が取り組まなければならないのは、生活者をコミュニケーションの起点に置き、欲しい情報をタイミング良く送るカスタマージャーニーを作ることです。生活者が何を提供されたいか、天気や株価など瞬間で変動してく外部要因も考慮したモーメントを探ることが求められます。そうすることで、生活者の欲しい情報を提供できる企業となっていくのだと考えています。
横山:これまでのCRMというのは、打てる施策が限られており、生活者のモーメントにおける気持ちや状況に答えきれるところまで至っていませんでした。
たとえば「雨の日に宅配ピザを買った人」がいた場合、外出をしたくないから買ったのか、その日がたまたま記念日で買ったのか、様々な理由が考えられます。理由によって欲しい情報も異なりますが、これまではそこまで顧客の気持ちや状況を捉えることができませんでした。
しかし現在はデジタル技術の発達によって、生活者の細かい情報を捕捉できるようになり、それぞれの生活者へタイムリーに情報を送れるようになりました。
この状況で企業に求められてくるのは、情報発信だけでなく、生活者のリアクションを正しく理解し、施策を改善するPDCAサイクルを回すことです。
菊地:生活者が「欲しくない」ときには情報発信しない視点も重要です。生活者のエモーショナルな部分に着目しエンゲージを高めていく企業が、今後生活者とのLTVを伸ばしていくのだと思います。
顧客起点のCRMに必要な組織、スキルセット、ナレッジをサポート
──両社はパートナーシップを通じてどのような支援を行っていくのでしょうか。
横山:Brazeのカスタマーエンゲージメントプラットフォームの導入・活用支援を博報堂のクライアントに対して行っていきます。
博報堂とBrazeは顧客起点のマーケティング、次世代のマーケティングシステムのあり方を追求している共通点があります。両社がパートナーシップを結ぶことで、企業が生活者のことをより深く理解できる支援をしていきたいと思います。
菊地:顧客視点のCRMを実現するには、組織やスキルセット、ナレッジそれぞれの改善が必要になります。これらの改善を支援できるよう、博報堂の持つ生活者起点のデータ、コンサルティング実績、そしてBrazeのカスタマーエンゲージメントプラットフォームを融合させて新しい顧客体験を実現したいです。その共同ソリューションの第一弾として、「HAKUHODO Marsys Onboarding(博報堂マーシス・オンボーディング)」のBraze版を開発し、2023年3月よりサービス提供を開始する予定です。