正解がないからこそ、何でもできるフェーズ
山田:現在、御社と取り組みを推進する企業は、どのような目的でclusterを使用されているのでしょうか。
成田:明確に売上目的で運営されているところは正直、まだありません。売上につながる方法を模索する段階で、各種KPI設計を含めてご一緒しているところです。

たとえば、clusterの中でスタンプラリーをしてみるなどスモールスタートでの取り組みやテストを数多く実施しています。また、メルマガや店頭会員など、可視化できない分散した会員を一堂に会し、意見を聞く場を作れないかというご要望もよくいただきます。それ以外では、広報価値や、集客や応募数を上げるためのキャンペーンのプロモーションとしての活用、保有ID対参加者比率の調査などに使われています。
また、メタバースのビジネス活用はまだ正解がありません。価値を感じたものは案件に関係なくclusterに実装していきますので、「これできない?」とお気軽にご相談いただきたいですね。実は「できますよ」と解答できることが意外と多いです。
バーチャルとリアルの両方からコミュニティ面積の拡大を
山田:メタバースビジネスはある種の熱狂状態だと思います。今後、状況は変化していくのでしょうか。
成田:当社も変化していかなければならないと考えています。メタバースの3DCG空間内の閉じたコミュニケーションやサービスの提供は、clusterの中で遊ぶ一般ユーザー様にとっては良いものです。しかし、法人様の利活用を考えると、それだけでは企業の進化に追いついていけません。
「実際の場所や商業施設に人を誘致するために、デジタル空間内で何ができるか」など、やはりオフラインと組み合わせた施策を考える必要があります。メタバース空間とオフラインの特定の場所を往来させるなど、バーチャルとリアルの両方から、いかにコミュニティ面積を大きくしていけるかを考えるケースが少しずつ出てきています。一例として、街に実際に建築物やコンテンツを置くための実証実験や、フィジビリティを探る場として地方自治体の町づくりにご活用いただいています。
リアルデータと突合し、データをどうマージするかといった取り組みも始まっています。clusterの保有するIDが、企業様のIDとイコールであるとわかれば、クラスター内の行動と実店舗での行動が突合できる状況です。
山田:リアルとの融合が進んでいるのですね。それは非常に今後が楽しみな取り組みです。