「誰を連れてくるのか」が重要
山田:ちょうど取材日が10月31日のハロウィーンです。御社も参画するバーチャル渋谷では「ハロウィーンフェス」が最終日ですね。今年で3年目のイベントですが、これまでと比べていかがでしたか?
成田:今年は開催日数もプログラムも多くなり、コミュニケーションもいろいろな切り口のものを同時に実施しました。できることが増えた「幅」をお見せできたと思います。新しい技術として、進化を世の中の皆様にお披露目することをキーファクターと捉えて企画しました。
山田:進化を見せていくというテーマは企業に対してもでしょうか?
成田:企業様に対しては、個別最適であるべきだと考えています。各社が持つ資産や伝えたいメッセージをしっかり汲んで、最適なアウトプットにするのがクラスター社の姿勢です。
山田:メタバースを活用する企業はZ世代の取り込みに関心が高いかと思います。そのあたりのお考えを伺えますか。
成田:メタバースというデジタル空間自体は万人に対して広く公平なものです。clusterに参加するユーザーの年齢層は幅広く、Z世代はもちろん、より上の世代の方もいらっしゃいます。男女比も半々に近く、網羅的にコミュニケーションできる場所になっています。
ですから、当社のクライアント様には、clusterをマーケティングチャネルやビークルの1つという側面以外にも、ユーザーとコミュニケーションを図りコミュニティを形成する場であるとご認識いただいています。
従来のWeb2.0や2Dとメタバースの違いは、リアルタイム性の有無です。TwitterでもYouTubeでも基本的には、ユーザーが任意のタイミングでアクセスすれば、ストック型の情報、コンテンツが常にあります。
一方、メタバースは基本的に「その瞬間」に「その空間」に一緒にいなければならずリアルタイム性が非常に重要です。ですから、まず誰かと一緒に足を運んでもらう工夫やフックを考える必要があります。そして、足を止めて誰と誰が出会う可能性を高めるのか。それを企画として考える必要があります。今clusterにいる人はもちろん、誰を連れていくのか、誘導もセットで考えつつ、誰と誰を会話させれば好意度は上がるのか、コンテンツを楽しいと思ってもらえるのか、商品を体験し、購入したくなるのか。
clusterでもストック型のコミュニケーション機能を開発中ですが、上記両方の設計が今後重要になっていくと考えます。
ユーザーとの相互運用性がclusterの強み
山田:様々なメタバースがありますが、clusterの強みはどこにあるとお考えですか?
成田:clusterは日本では有数かつ最大のUGCプラットフォームです。法人が一方的にコンテンツを提供するのではなく、ユーザー自身がコンテンツを作って増やしていく相互運用性を持つサービスです。そこが大きく他社とは異なり、日本においてユニークであるポイントです。
山田:UGCは最初から意図されていたのですか。
成田:当社はそもそも、誰もが3DCGワールドを作れる点にクリエイティビティの価値を置いています。ですから2020年の3月にスマートフォン版をリリースして以降、基本的にUGCを軸にしています。
メタバースは、デバイスとプラットフォームとコンテンツの3層で事業が構成されています。デバイスはスマホやゲーミングPCなどのハード面。コンテンツは、イベントやVRゲーム、音楽ライブなど。日本の企業は、このコンテンツで苛烈なマーケット競争を繰り広げていますよね。プラットフォームには当社や海外のRoblox(ロブロックス)、ZEPETO(ゼペット)などがあり、いずれもワールドをユーザーが作れます。
3DCG空間であること、UGCであること、SNS的にユーザー同士がコミュニケーションをとれる場所であること。それがメタバースプラットフォームであり、グローバルで競争が行われている場所です。クラスター社は日本でそこをしっかり射貫いていきます。