これまで以上に求められるパーソナルなコミュニケーション
MarkeZine編集部(以下、MZ):資生堂が新会員サービス「Beauty Key」を開始した背景を教えてください。
木子:「Beauty Key」をリリースした背景には、日本市場と生活者、化粧行動・考え方に対する変化が挙げられます。
まず、日本市場に関しては高齢化が進み、2025年には50歳以上が人口の半数を占め、2030年の日本ビューティー市場のうち約68%が45歳以上となる予測が出ています。そのため、お客様とこれまで以上にお付き合いする時間が長くなっていくことが考えられます。さらに、生活者の多くはスマートフォンを所持し、デジタルとの接触時間が増加しています。
これらの変化に合わせて化粧行動・考え方も変わり、新たな課題が生まれ始めています。たとえば、美容ライフの長期化によって「自分(の年齢)に適した商品や使い方がわからない」、ECでの化粧品購入が増加することで「便利だが、店舗のように試すことができない」などの課題が挙げられます。
このような背景から、化粧品の販売方法も変化が必要だと考えました。トライアル獲得から購買体験、リピート促進までの流れの中で、トライアル獲得ではSNS情報や口コミによる「信頼できる多角的な情報」に触れていただき、購買体験では店頭とデジタルを融合していき、リピート促進ではお客様一人ひとりに合ったパーソナルなコミュニケーションを実現していくことが求められています。
資生堂は創業から150年の歴史の中で、1930年代よりShiseido Beauty Chartやパーソナルビューティーパートナーの前進であるミス・シセイドウが誕生しています。また、その当時のビューティーのみならずその当時の文化を発信する月刊誌『資生堂グラフ』や『花椿』誌を創刊するなど、その人にあった一人ひとりの美を実現するために寄り添い続けてきました。
そして現代においては、クラウド肌分析などのようなパーソナライズドマッチングの支援や、そして文化活動や広告などを通じて女性をエンパワーするコミュニケーションを行っています。
この社会の変化に対し、資生堂がこれまで培ってきた「美」の知識と技能を活用してサービス化したのがBeauty Keyです。
5つのメニューで自分に合った「美」との出会いを提供
MZ:では、Beauty Keyがどのようなサービスなのか教えてください。
大槻:Beauty Keyは、お客様一人ひとりが自分に合った「美」と出会うため様々な扉を開くための「あなた専用の鍵」というコンセプトのもと開発した、新会員サービスです。
Beauty Keyは5つのメニュー画面で構成されています。1つ目は会員証を表示しているホームです。この会員証は、これまで資生堂が提供してきた「花椿CLUBカード」「ワタシプラス会員ID」「ブランド会員ID」をOne IDに統合したもので、これにより店舗やEC、どこで買い物をしてもポイントが貯まるようになります。
2つ目のMyノートでは美容アドバイスや購入履歴が確認できます。また、肌分析機能も搭載しているので、毎日自分の肌のコンディションを記録してグラフ化することが可能です。
3つ目の美容情報では、様々な美容に関するコンテンツが閲覧できます。ここでは資生堂の各ブランドに関する情報も発信しています。
4つ目のお知らせはお客様に向けた通知を行う場所なのですが、ここではブランドや小売店から最新の情報をお知らせすることができます。
そして5つ目の会員情報では、自分の会員ステージやポイントなどを表示しています。