マツキヨPBを立ち上げた乙幡氏が考える「強いブランド」の条件
今回紹介する書籍は『儲かるブランドは、「これ」しかやらない 弱者でも1位をとれる!』。著者はブランドテーラーの代表取締役を務める乙幡満男氏です。
乙幡氏は新卒で入社したメーカーで、数多くのヒット商品を開発。
現在は大手流通やメーカーなど、
本書で語られるのは、数々のブランドを手掛けてきた乙幡氏が考える、ブランドを強くする方法です。これまで日本では、競合よりも機能的な優位性がある上で値段が安いこと、つまりコスパの良さが重要だと思われてきました。一方乙幡氏は、コスパではなくブランドが好きだからという情緒的な価値で商品を選んでもらえるように、競合と比較して「強いブランド」を作り上げていくべきだと述べています。
マーケティング業界においてブランドの価値は重要とされるもので
強いブランドが長期的に価値を生む6つの理由
本書で乙幡氏は、そのブランドを使いたいという情緒的な価値があれば、自社に長期的に利益をもたらしてくれると述べ、その理由として以下の6つを挙げています。
- 価格で競わなくていい
- リピーターが指名買いしてくれる
- 顧客が自ら宣伝してくれる
- 従業員も売りたくなる
- 取引先との交渉で有利
- 良い人材を採用しやすくなる(P.33)
情緒的価値によってコスパでの競争から離れられるだけでなく、
企業にとって、ブランドは長期的な利益を生んでくれる「資産」と言える。ブランドがないことによる損失を考えれば、その価値の大きさがわかるだろう。(P.47)
2022年2月にインターブランド社が発表した「
乙幡氏が述べている通り、もし「マツモトキヨシ」
顧客の自己表現の手段になるブランド作り
前述の通り、情緒的価値で差別化をすることが強いブランドの形成に重要ですが、本書ではそれに加えて自己表現価値が加わるとそのブランドはさらに強くなると説明されています。
その理由を乙幡氏は以下のように述べています。
機能的価値の優劣や、「好き」「嫌い」といった情緒的価値による判断ではなく、自己の理想を表現するために必要なものになれるからです。(P.168)
アップルユーザーが「クリエイティブな人」、スターバックスの利用者が「都会的で洗練されている人」といったイメージを与えるように、強いブランドの多くには、ブランドのイメージを借りて自己表現できる価値があると乙幡氏は言います。
このように顧客がブランドを通じてどのような「理想の姿」を実現できるかを考え、それに向かって築いていくとブランドはより強固になると本書では説明されています。
本書では、 他にも強いブランドの特徴やどのように作り上げていくかといった方法を、乙幡氏自身が手がけた「マツモトキヨシのPB」の例などを使いながら詳しく解説しています。強いブランドはなぜ強いのか、
値上げによって競争が激しくなる中、改めて商品やサービスの差別化を図りたいと考える方はぜひ手に取ってみてください。
本記事はPHP研究所からの献本に基づいて記事作成しております