2023年1月、帝国データバンクは、上場する食品メーカー主要105社の価格改定動向について調査を行った。
2023年の4月までに7390品目値上げ予定 昨年比62%増
2022年に比べて大幅な価格引き上げを行う企業・食品が多く、値上げ率が大きく高止まりする原因となっている。同年末までに決定した、2023年中の飲食料品における値上げ品目数は、4月までの予定を含め累計7,390品目で、品目数は2022年1~4月の4,672品目に比べて約60%多かった。1回あたりの平均値上げ率は18%に達し、2022年通年に比べても4pt、前年同時期の平均値11%からは7pt高い水準だった。
そんな中、2023年1月単月の値上げは580品目で、前年同月の789品目に比べて209品目少なく、前年11月から3ヵ月連続で1,000品目を下回る水準となった。
ただし、2月には2022年以降で2番目に多い規模となる4,000超の品目で値上げが予定されている。さらに、3月も既に前年同月を上回っており、春先にかけて値上げラッシュの第一波が到来する見通し。
値上げの原因は、前年の原材料価格の高止まりに加えて、物流コストなどの上昇、急激に進んだ円安などの影響が長引いていることが考えられる。
それにより、コスト上昇分を緩やかに価格へ反映する動きが目立つ。さらに、改定幅を大幅に上回るコスト増に直面したことも値上げラッシュ長期化の原因となっている。
2023年で最も値上げ商品数が多いのは加工食品 単月でも最多
2023年の値上げで最も多い食品分野は加工食品の3,897品目で、全体の半数超を占めた。特に、2月に値上げが集中しており、かまぼこなど水産練り製品や冷凍食品などが多い結果となった。
次いで焼酎や輸入ワイン・ウイスキー、リキュール類などを中心にした酒類・飲料が1,446品目、ドレッシングや醤油、つゆ・たれ製品を中心とした調味料が1,417品目と続いた。嗜好性の強い菓子の526品目では、本体価格の引き上げではなく内容量減による価格維持をする「実質値上げ」の傾向が目立つ。原材料でも、家庭用オリーブオイルなど食用油で再値上げの動きがみられた。
この中で、1月単月の値上げでは加工食品が378品目と最も多くなった。主に、ツナ缶などの水産缶詰製品のほか、お好み焼き粉といった加工粉製品、パスタソースなどが1月の値上げのうち約半数を占めた。米菓やパンなどでも実質値上げの動きがみられた。
価格を変えず内容量を減らす実質値上げの増加
2023年の値上げでは、価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」が増えている。今後も、既に複数回値上げを行った嗜好品や、日常的に購入する食品などでは、気軽に購入できる店頭価格を維持するため実質値上げが選ばれる可能性がある。
ただ、短期間かつ複数回に及ぶ実質値上げは内容量減を実感しやすくなる側面もあるので、消費者目線では前年以上に「目に見える形」でのインフレを実感する年になると考えられる。
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