45.5%がCTVでYouTubeを視聴
まずは、生活者がCTVでどのサービスを視聴しているのか見ていきましょう。
上の図の調査データは2022年9月のものですが、およそ二人に一人は横長・大画面のCTVでYouTubeを視聴しています。本連載を開始した当初(2022年5月)は30%ほどだったので、日を追うごとにユーザーが増加していることがわかります(すでにBS・CS放送を超えていることは驚きです)。
一方、スマートフォンでYouTubeを視聴しているユーザーの約7割が、YouTubeを縦にしたまま視聴しているというデータもあります。YouTubeというメディアを1つとっても、ユーザーの視聴環境によって使用するデバイスが異なるのです。
そのため、CTVは「横長・大画面」、スマートフォンは「縦長・小画面」に適した広告クリエイティブを検討するなど、ユーザーのより良い広告体験を生むためにデバイス別の広告クリエイティブの設計が必要になってきます。
CTV視聴vsスマートフォン・パソコン視聴の比較で見えてくるもの
続いて、CTVで視聴しているユーザーと、パソコン・スマートフォンで視聴しているユーザー数を比較したデータが下図になります。
Amazon Prime VideoやNetflixなどのOTTサービスは、テレビでの視聴が多く、パソコン・スマートフォンと対比すると1.2倍ほどです。高品質かつ長尺、またテレビのリモコンにサービスボタンが標準装備されている背景から、テレビ比率が高いとは予想していたものの、実際には1.2倍ほどの差しかなく、意外と差が小さい結果でした。
これは、年齢別でデータを見てみるとよくわかるのですが、若年層ではテレビ:パソコン・スマートフォンの比率が1:1と、他の年齢層に比べてややテレビ比率が低いことが背景にあります。特に若年層に顕著に定着している「スマートフォンやタブレットで映像コンテンツを楽しむ」習慣が、上述の数字に反映されていると思われます。
一方で、YouTube、GYAO!、TVerは、パソコン・スマートフォンによる視聴数がCTV利用数の約1.5倍という状況。TVerの公式サイトによれば、CTVとパソコンを比較すると、すでにCTV利用率が高くなっているので、上記はスマートフォンの影響が強いと考えられます。実際、TVerは10代において最も認知率が高く、それにともない利用もされていますが、スキマ時間での視聴が多いようです。
こうした若年層の視聴スタイルは、ドラマの視聴率にも影響しています。かつてはテレビドラマと言えば第1話の視聴率が一番高く、2話以降は低下していくのが常と言われていましたが、最近はテレビ番組の見逃し配信とSNSでの話題化によって、途中からドラマを視聴する生活者も増えており、ドラマ後半に掛けて視聴率が伸びていくこともあるそうです。
今の10代の方が、将来自身でテレビデバイスを保有するようになったとき、SNSなどのメディア環境も含めてどんな行動習慣になっていくのかは、非常に気になるポイントです。友人とビデオチャットをつないだ状態で、同じテレビ番組を観るような行動が一般化すると、コンテンツ・広告ともに、「事業者と生活者のインタラクティブ性」ではなく、「生活者同士のインタラクティブ性」まで見据えた広告クリエイティブの設計が求められていきそうです。