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イベントレポート

ブランドは「n=1」とどう向き合い、価値につなげるか? キリンとスマイルズの実践から紐解く

 クラシコムが2023年1月25日(水)に開催した「BRAND SOLUTION LIVE 2023」。「いまブランドはニッチとどう向き合うべきか?」というテーマの下、計11名のスピーカーが集まった。MarkeZineでは、キリンホールディングスの平山氏とスマイルズの野崎氏が登壇したセッションを独占取材。セッションで語られた両社の哲学と具体事例を全5ページに亘ってお届けする。

レッドツェッペリン好きのn=1から始まる福島県のECサイト

高山:本日はスマイルズの野崎さんとキリンホールディングスの平山さんをお迎えして『ブランドは「n=1」とどう向き合い、価値につなげるか?』というテーマでお話をうかがってまいります。スマイルズといえば「Soup Stock Tokyo」の創業や「giraffe」などのブランド運営で知られていますが、実は法人向けのコンサルティング事業も展開されているそうですね。

クラシコム 取締役 高山達哉氏
クラシコム 取締役 高山達哉氏

野崎:はい。元々スマイルズではインハウスにクリエイティブチームを置き、外注をほとんどせずにブランドをつくってきました。その過程で培ったノウハウを、クライアント様の事業開発やブランディングに横展開しているわけです。これまで、キッコーマン食品さんのD2Cブランド「亀甲萬本店」や、六本木にある入場料制の書店「文喫」などをプロデュースしました。

スマイルズ 取締役社長 兼 CCO 野崎亙氏
スマイルズ 取締役社長 兼 CCO 野崎亙氏

野崎:最近は地方創生のお仕事をいただく機会も増えています。福島県の産品を紹介するECサイト「シオクリビト」は、スマイルズがプロデュースしました。一見すると、よくある県の通販サイトですが、商品紹介の分量は全体の1割程度しか占めていません。残りの9割は、生産者の人となりに迫ったインタビューコンテンツで構成されています。

 たとえば「俺はレッドツェッペリンが好き」などの個人的なエピソードをあえて取り上げることで、その人自身を好きになっていただき、親しい人から仕送りを受け取る感覚で買い物ができるサイトを目指しました。スマイルズではこのフレームを「エモーショナルコマース」と呼んでいます。

高山:まさにn=1を起点としたお取り組みですね。

顧客だけでなく従業員のn=1を見つめる

高山:平山さんも公式noteやオウンドメディア「KIRINto(キリント)」で、インタビューコンテンツの編集企画を担当されていますよね。

平山:はい。お客様に「だから私はキリンが好きなんだ」と思っていただけるコンテンツを目指して運営しています。noteでは従業員の生の声を中心に取り上げ、KIRINtoではより社会的なテーマを扱っています。

キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部 平山高敏氏
キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部 平山高敏氏

平山:たとえば発酵学者の小泉武夫先生をゲストにお迎えして、キリンが現在力を入れているヘルスケアサイエンス分野の対談記事を制作しました。「キリンはこんなことにも取り組んでいるんだ」と思っていただけるコンテンツをせっせと貯めているところです。

KIRINtoのコンテンツ
KIRINtoのコンテンツ

平山:従来の広報活動では、ホームページやSNSアカウントなどを通じて、企業・商品を起点に情報を発信していくアプローチが一般的でした。しかし最近は、従業員に対する親しみやソーシャルイシューへの関心など、自社を好きになっていただくための入り口が増えてきているような気がします。

 また、お客様に関心を持ってもらうことと同じくらい、従業員に「発信したい」と思ってもらうことも大切です。オウンドメディアの責任者として、社内外のn=1を見ながら伝えるべきキリンの価値を考え続けています。

野崎:スマイルズの全ブランドもn=1からスタートしています。やはり“発意”が大切ですよね。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/01 07:00 https://markezine.jp/article/detail/41336

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