圧倒的劣勢から当選。実行した2つの方法とは?
高橋:この人なら一緒にやっていけるな、と見極めた人を「勝つ人」へと導く方法についてうかがいたいと思います。
以前、会社をリストラされた49歳の女性を、たった6週間で政治家にしたことがあるとお聞きしました。このときは、その方の何を見込んで依頼を受けられたのですか。

高橋 飛翔(たかはし・ひしょう)
1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。ナイルにて、累計2,000社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足。2018年より新規事業として月1万円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。
鈴鹿:彼女は私の会社のサイトを見て、「議員秘書になりたい」と応募してきました。当時49歳、シングルマザー。会社の合併でリストラされて働かなきゃいけない、何としてでも仕事が欲しいと言って来たんですが、おっとり、ぽわんとした印象の彼女を見て瞬時に「(議員秘書は)無理だわ」と思いました。
ただ、よく話を聞いてみると、合併で働きにくくなった同僚の悩みを聞いて、その困りごとの解決に奔走していたと言うんですね。それで、上司に疎まれてリストラの対象になった。そう聞いて、我が身を省みず人のために尽くせる性質は議員にふさわしいと思いました。だから、「議員秘書は無理だけど、市議会議員ならいける」と伝えたんです。
その後、彼女から「決めました。立候補します!」と連絡があったのは、まさかの投開票日の6週間前でした(笑)。
高橋:そのような経緯で6週間前になったんですね(笑)。では、その方を勝たせるためにどのような支援を行ったのでしょうか。
鈴鹿:この短期間で勝たせるために私がしたことは、大きく2つです。一つは、政党の公認を取り付け、その党でスペックが似ていて当選実績のある候補者をコピーすること。その人の票が少しでも流れ込むように、彼女をそっくりに仕立てました。
もう一つは、街頭での立ち方から振る舞い方まで、徹底的に仕込んでブランディングすること。街頭演説には一人で立ち、ビラも一人で撒く。そうすると、人間の心情的に、だんだん同情心が湧いてくるんですね。ボランティアは最終的に5人まで増えて、圧倒的劣勢に見えた状況を跳ね返して当選を勝ち取りました。
高橋:すごくおもしろいですね。このように実績がない候補を勝たせるための「型」はあるんですか?
鈴鹿:手法はいくつかありますね。ただ、戦う場所によって適した手法は異なります。選挙情勢とクライアントのタイプ、敵対する政党や身内の敵の有無を見極めながら、その時々でベストな手法を組み合わせます。