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イベントレポート

学んでも活用できない“マーケティングの樹海”脱出のカギと、組織に必要な思考とは?西口氏と山口氏が解説

3つの事業フェーズに分けて考える

 「価値」の理解や「WHO&WHAT」が複数成立することと並んで、事業の段階によってマーケティングの考え方が変わることも、初心者が混乱する要因のひとつだという。西口氏は成長段階を以下の3つに設定。自分が携わる事業が今どのような段階にあるのかを見極めWHO&WHATを出発点にマーケティングをしていくことで、事業成長につながる成果を得ることができる。

0→1:事業の立ち上がり期で最初の「WHO&WHAT」を見いだした段階

1→10:「WHO&WHAT」が成り立つ人をたくさん探して増やしていく成長段階

10→1,000:他にも「WHO&WHAT」が成り立つ関係を見つけ、顧客層や数を拡大しながら単価と頻度を上げていく成長段階

 「見逃してはいけない事実は、成長段階が進むと企業側が意図していなかった『WHO&WHAT』が出てくる点です。逆にいうと、最初に成り立った『WHO&WHAT』だけしか見えていないとどこかで必ず顧客数は頭打ちとなり、事業成長は止まってしまう。したがって2つ目3つ目の『WHO&WHAT』の組み合わせを見い出すことが、グロースさせる上で重要になります」(西口氏)

 たとえばビールについても、前述のようにギフトとして提案すればアルコールが飲めない人も顧客になりうる。また小売店を営む人が「自分の店で扱いたい」と思えば、BtoBの顧客になりうるわけだ。

ブランディングは何に効いているのか

 ここまでが、前出のストラテジーマップにおける(1)「価値を定義 WHOとWHAT」~(3)「新規」のプロセスに該当する。いずれの「WHO&WHAT」でも購買が続けば理想だが、しかし顧客は必ず一定割合で離反する。それを防いで継続購買を促すのが、(4)「価値の再評価」のプロセスだ。初回購買を経て期待以上に満足したり、周囲からも評判を聞いたりすることで、もう一度買おうという心理になる。

 さらに、同じくマーケティング初心者が難しさを感じる「ブランディング」の位置づけと機能も、ストラテジーマップ上で説明できるという。「皆さんにお勧めするブランディングの定義は、『忘れられないような仕組みづくり』です」と西口氏。たとえばマクドナルドなら、ほとんどの人がロゴを見ただけで「マクドナルドだ」とわかる。CMで使われている音楽を聴いただけでわかる人も、少なくないだろう。

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 名称・色や形・音などの表現で、見た瞬間にそのブランドを思い出す。このような仕組みを作る活動が、ブランディングだと西口氏は解説。売れ行きのよい商品ほど競合も出てくるので、競合に目移りせずに思い出してもらい、離反を防ぐ役目がある。またブランディングは、離反した顧客の復帰にも有効だ。

 最後に、書籍に入りきらなかった内容として「顧客は必ず上位集中する」ことが語られた。「パレートの法則」や「2・8(ニッパチ)の法則」といわれ、全体の20%の顧客が80%の売り上げ・利益に貢献することがよく指摘される。

 だが顧客の残り80%のほうがボリュームは大きいため、印象が強くなり、こちらの層により投資しがちだ。「上位20%に成立している『WHO&WHAT』を理解し、事業拡大していきましょう」と西口氏は述べた。

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組織として成果を上げるための「3つの共通言語」とは?

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/41788

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