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第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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「それでも私たちはデザインする」 VP of Designが語る、FigmaにおけるAIの本質と今後のデザイナーの役割

 Figmaはグローバル年次カンファレンス「Config 2023」をアメリカ・サンフランシスコにて開催。本記事では、デザインのためのAI活用、AIとデザインの未来などについて語られたセッション「AI and the future of Design: Designing with AI」より、Figma でVP of Design をつとめるNoah Levin氏のパートと、同氏の単独取材の様子をお届けする。AIがもたらす変化と、そのなかでデザイナーが果たすべき役割とは。

変化をもたらしたのは、AIではなく生身の人間

 Noah氏は最初に、取り上げるトピックとして「AIがデザイン業界にとってどのような意味を持つのか」「Figmaではどのように考えているのか」を提示。その根拠となるふたつの仮説を次のように語り、セッションを始めた。

「ひとつめは、デザインというものの普遍的な定義です。デザインとは、人々のために問題を解決すること。それは単にピクセルを調整したりすることではなく、私たちが手で行うこと以上のものであり、自分の心で行うことでもあります。もうひとつは、デザインは常にテクノロジーとともに進化してきたということ。テクノロジーは、サポートするためにあるのであって、気の利いたデザインに取って代わるものではありません」

 続けて「今回のようなAIによる大きな転換を経験したのは、デザイン業界にとって初めてのことではない」と指摘。この10年間で、デスクトップからモバイルへ、シングルプレーヤーからマルチプレーヤーへ、リモートワークやハイブリッドワークへなど多くの変化を経てきたが、そのたびに適応し学習してきた。だからこそ、AIとともにある今、それでも私たちはデザインするのだと。

「ですが正直に言うと、私たちの仕事が変わり、環境が変わり、働き方が変わる可能性は大いにあります。そして私たちは、完全に未来をコントロールしたり予測したりすることはできませんが、この変化に対応し、どのように取り組むかをコントロールすることはできるのです」

 私たちはChatGPTのような新しいテクノロジーによって、Googleの黎明期から行ってきた「質問を入力して答えを得る」という行為を再び行うようになるかもしれない。そしてAIは、より複雑なインターフェースへのニーズをシンプルにし、飛行機の予約であれ、旅行の計画であれ、夕食の注文であれ、なすべき中核となる仕事に集中することが可能になるのではないかとの考えを示した。

 同時にNoah氏はこれを「人々の行動をサポートする体験を再構築するものであり、とてもエキサイティングな変化」だと語る。

「Figmaがアイディアの実現を手助けする場合をふくめ、ほかのどのようなケースであっても、ソフトウェアは常に私たちの意図や行動を示す架け橋となってきました。大切なのは、ソフトウェアが目指すゴールを忘れないこと。それにどれくらい時間がかかるかはわかりませんが、私たちが意図しているものやその行動の理由について考えを巡らせることは可能です」

Figma VP of Design Noah Levin氏
Figma VP of Design Noah Levin氏

 続いてNoah氏は、優れたデザインを作る際、“ツール”によって制約されている部分があり、とくに非デザイナーがそれを突破しコラボレーションに参加することは難しいと指摘。ただAIはその壁を取り払い、より創造的なアウトプットやより素晴らしい製品を生み出すことに寄与するだろうとの見解を示した。

 人々がより自由かつ視覚的にデザインに参加できるようになること、既存のデザイナーは以前よりもさらに野心的な体験を生み出すことなどがFigmaにおけるAIがもたらす変化であり、同時にそれは「デザインの敷居を下げることにもなる」と続ける。

「これによりデザインを行いやすくなり、誰もが視覚的にコラボレーションすることが可能になりますが、Figmaではおなじみの変化とも言えます。最初は、ウェブ上で多くの人々が共同で作業をすることが本当に良いアイディアであるのかわかりませんでした。しかしそれこそが、より実りのある仕事をするための方法でしたし、その結果共有スペースが生まれた。

この空間では私たち全員が考え、ともに構築していきます。そして、肩書きにとらわれることなく、私たちは皆、ただの“作り手”なのだと感じることができる。集中すべきは、誰が何をしたかということよりも、仕事の目標を共有すること。エゴを捨て、素晴らしいアイディアはどこからでも生まれることを認識するのです」

 セッションのなかでNoah氏は、Figmaが「community-centered」な会社であることにも言及。「この場にいる皆さんは間違いなく、この製品、この会社、この業界を形づくる重要な役割を担ってきました」と呼びかけ、AIについて深く考えるなかで得た学びを共有した。

「AIは単なる機能でもなく、製品でもない。テクノロジーであり、プラットフォームであることを研究の過程で学びました。AIは仕事を代行するわけではなく、ひとつのツールに過ぎないのです」

 その後Noah氏は、デモンストレーションを交えながら、システムからさまざまなパターンを探るケースや、製品レビュー後に寄せられた何百ものコメントを簡単に要約する場合などにAIが役立つことを解説。最後に次のように語り、自身のパートを締めくくった。

「今日お話したことはすべて、私だけのアイディアではありません。たしかにAIはさまざまなプロセスをサポートし、より簡単なものにしてくれましたが、これらの変化はAIではなく生身の人間によってもたらされたものです。

そしてお伝えしたとおり、Figmaはコミュニティ中心の会社。AIをどのように役立てることができるか、どのような問題に直面しているのか、どのようなニーズがあるのかなど、ぜひお聞かせください」

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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2023/07/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42862

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