SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

「それでも私たちはデザインする」 VP of Designが語る、FigmaにおけるAIの本質と今後のデザイナーの役割

[Noah氏単独取材]今デザイナーがすべきは「役割の定義を自ら広げること」

 セッションの内容を受け、編集部では現地でNoah氏の個別取材を敢行。AIがもたらす変化やcommunity-centeredで進めるAI活用、今後の展望などについて話を聞いた。

――AIによってどのような変化がもたらされると思いますか?あらためて見解をお聞かせください。

いくつかの側面があると思いますが、第一に私たちは、AIをエンド・ツー・エンドのデザインプロセス全体に応用できると考えています。つまり、画面上のインターフェイスをデザインするだけでなく、ブレインストーミングや、開発した製品を引き渡すプロセスの最終段階にも適用できるということです。もちろんその合間にも、スタッフとのコラボレーションやメッセージのやりとりがありますよね。そのため、各分野でプロセスを改善する機会がもたらされると思います。ピクセルをなぞるだけの単調な作業から解放され、スピードが上がることで、デザイナーがより良い仕事をし、制作をする。多くの時間を節約するのに役立つはずです。これにより私たちは、問題解決や制作過程における本当に重要な部分に集中することができるのです。

そのためAIは、これらのツールを学ぶ障壁を下げるのにも役立つと思います。というのも、アイコンのある場所やそれにまつわる長年のルールを知る必要がないからです。AIは、音声やテキスト、プロンプトなど何であれ、違った形で意図を表現することを助けてくれます。今までは少し怖さを感じたり、やりにくかったりした仕事を容易に進めることが可能になりますし、そうやってすべての仕事が上手くいけば、より早くかつ簡単に業務を行うことができる。私たちはAIを単なる機能ではなく、すべてのプロセスを支援するものだと考えています。

――セッションの中で「Figmaはcommunity-centeredな会社」とのお話がありましたが、community-centeredを大切にしたAI活用とはどのようなものなのでしょうか。

いくつか考えていることがあります。ひとつは、人々が何を必要としているのか、何をしようとしているのかを知るために、ユーザーがすでに開発しているプラグインを積極的にチェックしています。また、私たちはコミュニティの意見を聞きながら開発を進めるようにしています。私たちは、暗い部屋にこもって天才的なアイディアを思いつき、それを発表してみんなを驚かせるようなタイプではありません。一緒に遊び場に入り、開発しようとしているものについてコミュニティと議論したいのです。

ですから私たちは、ユーザーとオープンに設計することを考えました。新しい技術を活用し、かつコミュニティ中心であることは、彼らを驚かせないことを意味します。そのためAIに関しては、かなりオープンに私たちの興味や関心を共有してきました。ユーザーに、プロセスの一部であることを感じてほしいからです。

世界中の誰もがいっせいにこの新しい技術の使いかたを学んでいる今、個人的には、何が起こるかを正確に知っていると言う会社を信頼することはできないと感じています。だからこそ私は、謙虚なアプローチを取りたいのです。

ユーザーがさまざまなプラグインを開発しているのをみて、この領域に興味があることがわかりました。またAIは、デザインプロセスの一部を助けるという側面も持っている。わからないことは多いですが、いくつかの利点を見つけたんです。これはときにベータプログラムのようにも見えると思いますが、早い段階でユーザーにアクセスしてもらいテストを行うことで、機能するかどうかを確認することができる。これが、コミュニティが私たちを助けてくれていると感じる点です。

――セッションでは「これらの変化はデザインの敷居を下げることにもなる」ともおっしゃっていました。デザイン制作のハードルが下がり、多くの人が関われるようになったとき、デザイナーはどのような役割を担えば良いのでしょうか。

デザイナーの仕事の大半はビジュアルを作ることだけだと思われているケースは多いです。ただ実際は、「手」を使うことが重要なのではなく、誰かが直面している問題に対し、正しい解決策を導き出すことこそが私たちの仕事であり、取り組んでいることなのです。

そのため焦点を当てるべきは、その解決策が機能するかということ。歴史的に一部の企業はこれをプロダクトマネージャーやビジネスリーダーの仕事であるととらえてきましたが、デザイナーは「問題を解決している人々」として考えるべきです。同時にデザイナーは、役割の定義を広げる必要がある。インパクトを与えたり、問題を解決しようとしている人として、自らをとらえなければならないと感じています。

そういった意味で、言葉が適切であるかどうかはわからないですが、イラストレーションといった類のものは少し減るかもしれません。その代わりに戦略を立てたり、私たちの能力をサポートしたりする作業に重点を置くようになる可能性もあると思います。ただ、彼らは創造し続けるべきであり、どこまでもクリエイター。同じように、その定義を広げていく必要があるでしょう。

――最後に、FigmaがAIを活用して実現していきたいことについてお聞かせください。

私たちは常に、世界中の人々が視覚的にコラボレーションするための手助けをしたいと考えてきました。ソフトウェア以外の分野でも、多くの業界ではテキスト中心の作業が行われているのではないでしょうか。ただ個人的には、製品のマークアップであれ、会社のミッションの説明であれ、視覚的なコミュニケーションの威力は、明確で見やすいと感じたときにもっとも効果を発揮すると思っています。それらはときに、物事をつなぎ合わせていくようなグラフィカルな性質を持っています。そしてもっと多くの人がその素晴らしいスキルを持つべきですし、デザイナーは人々にその方法を教えるべきでしょう。

その際、それをサポートできるのがAIではないかと私は考えています。ツールの使いかたはときに難しく感じるかもしれませんが、AIによって人々がプロセスに参加するハードルは低くなるでしょう。そしてそれは非常に良いことだと思います。さらに人々はより良いソフトウェアを作りたいと思うようになり、実際に開発することが可能になるはずです。

Figmaは、自分たちが楽しめる製品を使いたいですし、スクリーンを使うならその時間を有意義なものにしたい。気が散ったり、難しくて使えないものに時間が取られたりするのではなく、私たちの1日を助けるために役立ってほしいのです。誰もが優れたデザインやソフトウェアから恩恵を受けること。私たちが行っていることの大部分は、世界中の人々がより良い製品を開発できるよう、デザインをより簡単にすることなのです。

――Noahさん、ありがとうございました!

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

※CreatorZineへの会員登録(無料)が必要になる場合があります。

  

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/07/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42862

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング