サステナブルブランド「ZENB」を若い世代に訴求するには?
★こちらの記事は先に公開した前編の続きです。
——今回の鼎談で司会を担当するCOLLECTIVE CONNECTのひろもりです。前編では、ミツカングループが目指す「おいしさと健康の一致」「人と社会と地球の健康」という方向性のもとで2019年にスタートした食の通販事業「ZENB(ゼンブ)」ブランドに関する説明を経て、ブランドに対する学生の皆さんからの率直な印象を伺いました。
その中で出てきたのが「ブランドの理念へ共感すること」と「実際にその商品を買う/使うこと」の間にある乖離です。ZENBの事業を担当する長岡さんも、若い世代へZENBの認知を広めたいと思っているそうなので、どうすればZENBブランドを広めていけるのか、学生の皆さんからアイデアをお願いします。
凰:私たちのグループ「わこころ」でも規格外の野菜を使ったスープを提供していますが、最初からそこをあまりアピールしていないんです。味わっていただいて、「おいしい」と気に入ってくださった方や興味を持っていただいた方に「実はこのスープは、廃棄される規格外野菜を使って作ったものです」などと声をかけています。
そこで思うことは、おいしさや楽しさというポジティブな感情は、何かを訴える時に“最強の手段”だということです。ZENBさんは「野菜を皮や芯までまるごと使って、動物性原料や砂糖は使わない」とブランドの姿勢を打ち出していますが、その商品を実際に食べられる場があれば、皆さん関心を持つし、買うきっかけにつながるのではないかと思いました。
長岡:ありがとうございます。確かに大事な視点ですね。「サステナビリティだからその商品を買う」ことは、率直にいえばその活動に興味がある方がほとんどなので、ごく一部になってしまいます。そうではなく、やはりおいしさや健康など自分ごと化できるようなことを伝えながら、その後ろではサステナブルを考えているということを含め、好きになっていただくコミュニケーションが必要ですね。
自分ごと化に必要な「手軽さ」「使い勝手」「場所」
凰:ZENBの商品を見ると、パンに塗って食べられるペーストがあるので、その手軽さをアピールするのも良いかと思いました。
瀧:私がZENBさんのWebサイトを見て印象的だったのは、黄えんどう豆で作ったZENB ヌードルの説明にある「何にでも使える」という表現でした。私自身、料理が好きなのでよくスーパーに行くのですが、「麺って沢山の種類があるんだな」と思うことがあります。一方で私は1人暮らしなので、ラーメンの袋麺やパスタ、うどん、蕎麦などを少し食べたいからと買ってしまうと、一度に全部食べきれないから結局残ってしまいます。かなり切実な問題なんです。
しかしZENB ヌードルは調理の仕方によってパスタ風にもなればラーメン風でも、焼きそば風でも食べられる。これは家庭の食品ロスを減らす手段にもなりますし、私にとってもありがたい商品です。この「何にでも使える」点をアピールすれば、買う人は増えるような気がします。特に若い世代はモノが増えることを嫌がる人が多いので、「これ1つで何にでも」という用途が広い商品であれば、受け入れやすくなるのではと思いました。
帆井:若い世代にブランドを届けるという点で考えると、学食とのコラボは有効かと思いました。私が通う上智大学は学内にビーガン対応の学食があるのですが、メニューはカレーだけなんです。ビーガンの学生は毎日そこへ行くか、自分で作ってきたお弁当を食べるしかないため、ZENBさんがその選択肢になれば喜ぶ若い学生も増えるのではないでしょうか。
またビーガンの学生からZENBの商品について「食べてみたらおいしかった」といった口コミが広がれば、ビーガンの方だけでなく興味を持つ学生が増えていきそうですし、卒業して社会人になってからも「あの商品はおいしくて、体に良かったからまた食べたい」とZENBブランドに戻ってくる循環ができるかと思います。