若年層はどのようなブランドを選び、支持するのか?
ブランドと関係を持つことは、人と関係を持つことに似ている。私たちは価値観を共有し、友人や家族に紹介したいと思えるような人(つまりここではブランド)を探しているのだ。
では、ブランドはいかにして人々に選ばれ、関係を築いていけばよいだろうか?
たとえば、パートナーを探している人がデートの相手を選ぶ時、見栄えの良いプロフィール写真を選定基準のひとつとすることも多いのではないだろうか。一方、ブランドがデジタル・ファースト世代を口説こうとする時には、人目を引くロゴ(プロフィール写真)以上のものが必要だ。競合他社に対抗できる決定的なファースト・ムーバーズ・アドバンテージ(先行者利益)を確保するためには、オーディエンスの行動を理解し、彼らがどのようにブランドと関わっているかを理解する必要がある。
Twitchは、Generation Twitchと彼らのブランドに対する生涯価値(Lifetime Value)をより深く理解するため、9ヵ国9,000人を対象にグローバル調査を実施。彼らのライフスタイル、ブランドとの関わり方、企業が彼らとより深い関係を築く方法について調査した。
本記事では、「Twitch Customer Lifetime Value Research, 2023」の調査結果の一部を紹介したい。
マーケティングで無視できない「Generation Twitch」とは
前提として、「Generation Twitch」とはどのような人々で、なぜ彼らは注目されているのだろうか?
簡単に言えば、「Generation Twitch」とは、Z世代とミレニアル世代から成る、主に若年層の多世代グループである。本記事で特筆すべきは、彼らがブランドに忠実で、ブランドとの長期的な関係を望んでいるということだ。調査結果を詳しく見ていこう。
Generation Twitchの特性1:可処分所得が高い
Generation Twitchの37%は25~34歳で、68%がフルタイムの職に就いている。彼らは可処分所得が高く、すべてのカテゴリーで平均より高い支出をすることがわかっている。また、Z世代だけで、2030年までに所得合計が33兆ドルに達すると予測されており(出典:Business Insider)、マーケティング担当者にとって無視できないセグメントである。
Generation Twitchの特性2:目の肥えた消費者であり、インフルエンサーである
Generation Twitchは、最新のトレンドに精通しているだけでなく、企業(ブランド)のサービスや目的、理念について、そのブランドを受け入れる前に時間をかけて調べ尽くす、目の肥えた消費者でもある。そして知識豊富なインフルエンサーとなり、オンライン・オフラインのコミュニティでその知見を喜んで共有する。
Generation Twitchの特性3:LTV(生涯価値)が高い
Generation Twitchは、ブランドにとって忠実な“支持者”になり得る存在だ。実際に、79%がブランドと長期的な関係を持ちたいと答えており、75%はブランドを自分のアイデンティティの一部とさえ考えている。
『ブランドは、自分のアイデンティティの一部です。そのブランドが何についてのブランドなのか、何を支持するブランドなのかまで知っています』(調査の回答より引用)
好奇心旺盛なGeneration Twitchを熱烈なブランド支持者に変える4ステップ
オーディエンスとLTVを築くには、4つの段階的かつ流動的なプロセスがある。このブランド・エンゲージメントのサイクルを適切に実行することで、ブランドはオーディエンスと深いつながりを構築し、好奇心旺盛な彼らを熱烈なブランド支持者に変えることができる。
ステップ1:発見
マーケターは、無数のコンテンツの中から自社ブランドを選んでもらうために、視聴者の注目を集めて、驚かせ、さらに彼らが属するコミュニティで何か共有するネタを提供する必要がある。これは、クリエイティビティにおいても、イノベーションにおいても同様だ。Twitchの視聴者は「ブランドはクリエイティビティにおいて目立つ存在であってほしい」という点で、Twitchの非視聴者よりも13%高い数字を示している。つまり、オーディエンスに発見されるための最初のステップとして、クリエイティビティの要素が重要となる。
★Twitch活用のヒント★
Twitchは、ライブ配信を中心に幅広いトピックのコンテンツを提供するインタラクティブなコミュニティとして、クリエイティブかつ大胆で、楽しいものだと受け入れられている。実際に、Twitch視聴者の69%は「Twitchに広告を出すブランドは、よりクールでおもしろい」と回答していた。オーディエンスの注目や関心を集めるヒントとして、71%が「Twitchのインタラクティブツール(チャットや投票)の活用で、広告はもっとおもしろくなる」と回答していることも添えておく。
ステップ2:絆を築く
次にステップ2では、製品の機能や企業の価値観にさえも透明性を持たせることで、オーディエンスと信頼を築き、つながりを強めることが重要だ。
Twitchの視聴者は、ブランドの外観やスタイルだけでなく“本質”を求める傾向が、非視聴者より9%も高い。さらにブランドは何を伝えるかだけでなく、どう伝えるかも意識しなければならない。特にGeneration Twitchは、よりオープンにブランドを吟味・評価する傾向が強いと考えられるが、自信をもって自分たちのことを発信しているブランドについては、たとえそれが完璧でなくても、高く評価するだろう。
★Twitch活用のヒント★
ライブ配信は、Twitchの最大の魅力の1つであり、ライブ配信というサービスを提供する上で「信憑性」は欠かすことのできない部分である。視聴者の69%が「Twitchで広告を出すブランドは自社製品の品質に自信を持っている」と回答しており、70%が「Twitchではブランドや製品がより正直に評価される」と考えている。
高いLTVは偶然には起こりはしない。中長期で戦略的に投資せよ
ステップ3:つながりを深める
この段階では、ブランドはオーディエンスにとって単なる“名前”ではなく、コミュニティの一員となる必要がある。オーディエンスの声に耳を傾け、忠実なブランド支持者にコミットすることで、自然とブランドは親しみやすく、フレンドリーな存在として見られるようになる。
★Twitch活用のヒント★
Twitchのコミュニケーションは、双方向的でかつインタラクティブであるため、ブランドがオーディエンスとリアルタイムでつながる上で非常に効果的だ。Twitch視聴者の71%は「Twitchでは、ブランドはより人間的な側面を見せることができる」と回答し、74%は「Twitchが協力的なコミュニティである」と回答している。
ステップ4:啓蒙
最後のステップ4は、オーディエンスがブランド愛を共有する時だ。この時、ブランドには、オープンにオーディエンスの意見に耳を傾けることが求められる。
★Twitch活用のヒント★
Twitchのコミュニティは、他のオンライン上のコミュニティよりもアクティブかつ寛大だ。視聴者の69%が「ブランドや広告について、コミュニティの意見を信頼している」と回答しており、68%は「Twitchで広告を出すブランドについてコミュニティ間でより多くの議論が交わされている」ことに同意している。
ここまで4つのプロセスを見てきた。高いLTVは偶然に起こるのではなく、ブランドとオーディエンスの間にどのようにしてブランド・エンゲージメントが生まれるのかを理解することで実現すると言える。クリエイティビティ、リアルタイム性、信憑性の3つの観点で、ブランドはTwitchを通してマインドシェアを確立し、強力なブランド支持者になるオーディエンスとの長期的な関係を育むことができるのだ。
Generation Twitchとつながるための競争は始まっている。中長期に結果を出すには、Generation Twitchのコミュニティとそのライフスタイルを理解することから始める必要がある。