Web3やNFT技術で、音楽業界を変える イヴァン・リン氏との出会い
さて、シリコンバレーではたくさんの人にお会いしたのですが、帰国する日の午前中に会えたのは、著名ミュージシャンにしてWeb3音楽プラットフォームWavvのCEO兼創設者でもあるイヴァン・リン(Ivan Linn)さん(30代)です。
英語で雑談を1時間くらいしたのですが、超有名人にもかかわらず、とても打ち解けて、いろいろと話をしてくれました。勝手な想像では、64歳で異国から短期間訪問しているだけの僕に対しても、ミュージシャン特有の嗅覚で、“専門にとどまらず越境して行く”といった自分と同様の感覚を感じ取り、好感をもってくれたのではないかと思っています。
イヴァン氏の人生は、まさに並外れた専門性を獲得し続けながらも、軽々と様々な分野に越境して行くもので、それを本人の口から楽し気に聞くことができたのは、大変に幸せでした。
4歳の時にスイスでピアノ演奏の披露も行っているようですが、本格的にピアノを習い始めるのは12歳の時だったそうです。その後、ドイツの大学で音楽を学び、2011年には米国に移住、大学院で音楽を学び続けます。
彼の当時の本職はクラシック音楽だったわけですが、やがてゲーム音楽や映画音楽にも進出し、ファイナル・ファンタジーの音楽を手掛けたことでも有名です。「周りはみな4歳からクラシック音楽を始めていて自分は12歳からだったから限界を感じたんだ」と本音トーク。「それに同じことばかりやっているのは性に合わなくてね」と、いたずらっぽく笑いながら彼は語ってくれました。僕も大いに賛同の意を表明したわけです。
他にもここには書ききれないくらいの多彩な活動をしつつ、2022年にはWavvというWeb3音楽プラットフォームを共同創業し、CEOも務めています。「今の音楽業界に対して不満をもっているミュージシャン仲間はたくさんいる。それは適切な報酬がミュージシャンの元まで届かないからだ。NFT等のWeb3テクノロジーを用いて、仲間の状況を改善したいんだ」と、真摯に語ってくれました。
経歴や活動をネットで詳しく見るほどに、それほど活躍している人なのに“ギラギラした感じ”が皆無だった彼の様子を、思い出します。本当にナチュラルで、自分のやりたいことを、様々な人との出会いの中で繰り広げていたら、気がついたら、イマここにいる、そんな様子。僕は彼の中に“自分と同質のもの”を感じました。そうしたことからすると、自分も案外、Web3界隈に向いているのかもしれません。
これを書いているのは、シリコンバレー訪問から帰国して10日ほど経ってからです。しかし、少し時間の間隔があいても、あの地で過ごした1週間は強烈な印象を自分に残しています。自分はテクノロジーやWeb3の専門家ではありませんが、しかし今の時代を生きるものとして、その概略、そのコンセプトは掴めた気がします。
滞在中にいろいろとお話を聞かせてくださった皆さん、そして今回の訪問を勧めてくれて、様々なセッティングやサポートをしてくれたVUELOOの武富正人さんに改めて感謝しつつ、この連載を終えたいと思います。読んでいただいた皆さんも、とりあえずシリコンバレーへGO!ちょっと何かが変わるかもしれませんよ!
