LINEアプリ内でYahoo!検索が可能に
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、直近の検索動向に関して教えてください。
大町:Yahoo!検索では、ユーザーの検索体験のさらなる向上を目指した開発を日々行っています。これまで、国内の災害情報や時事ニュースに関連した検索結果の回答力向上には特に尽力してきました。
一方で、旅行やショッピングなどお客様の購買が発生する領域の検索結果にはまだまだ改善できる要素があったため、特にここに注力して改善を進めています。直近の大きな改善点としては、他社から商品情報をお預かりし、ユーザーが商品や価格比較を検索結果上で行えるようにしたことなどがあります。引き続き、お客様のよりよい購買体験につながるような検索結果の表示を目指しています。
また、最近の大きなアップデートは、2023年6月より「LINE Search」のWeb検索が「Yahoo!検索」に切り替わったことです。LINE Searchは、LINEスタンプ・着せ替え・LINE公式アカウント・オープンチャット・友だちやトークといったLINEアプリ内のコンテンツ検索およびWeb検索を行える機能として提供していました。
アップデートによりLINEの「ニュースタブ」上部の検索窓がYahoo!検索になったことで、LINEユーザーがポータルサイトとして成熟しているYahoo! JAPANの検索を利用でき、知りたい情報にアクセスしやすくなりました。
LINEの検索追加で月間検索数が1億増、マルチデバイス化も加速
MZ:LINE SearchのWeb検索がYahoo!検索に切り替わったことにより、どのような変化がありましたか。
大町:スマホを中心とした検索数が大きく増加しました。月間で約1億回増加し、ニュースタブの特性から多かった、時事的な話題に加え、LINEでのコミュニケーションの中で出てきた商品やサービス、言葉について調べる動きが生まれつつあります。外部機関と弊社が行った調査では、Yahoo!検索の利用者は国内のPCユーザーの30%、スマートフォンユーザーの31%を占めており、今回のアップデートにより今後拡大も期待できます。
大町:また、LINEユーザーの多くがスマホで利用していることから、検索増加分の大半がスマホから生まれています。これによりマルチデバイス化が加速しています。
PCでYahoo!検索を利用するユーザーのうち、約55%がスマホなど別のデバイスでも検索をしていることがわかっています(2023年8月調査)。
弊社が行った調査では、検索広告において、複数のデバイスにまたがってクリックやコンバージョンが発生するクロスデバイスコンバージョン数が年々増加し、昨年比で約95%増加していました(2022年6月と2023年5月の比較)。
MZ:「スマホで検索してPCで購入する」ユーザーの動きはイメージしやすいと思いますが、「PCで検索してスマホで購入する」動きもあるのですね。
大町:たとえば、アプリ経由で購入するとポイント付与率が高いなど、スマホで購入したほうがお得になる場合、PCで検索して検討の上、スマホアプリで購入手続きをする方もいらっしゃいます。
検索広告の今の実力とは
MZ:直近のアップデートによって、検索広告のパフォーマンスは変化しましたか。
大町:日々のアップデートがクリック率やクリック数、クリック単価(CPC)など様々な指標の改善につながっています。具体的には昨年との比較(2022年6月と2023年5月)で、クリック率は約19%増加しました。誘導数を増やしながら、誘導に対して投資いただいているコストを削減することができています。
大町:この比較では、LINE Searchに対応した2023年6月以降の数字は含まれていないのですが、今後LINEアプリからの検索数増加により、改善されたパフォーマンスを維持しながら送客ボリュームを増加させることができます。
また、パフォーマンスが改善できているのは、検索体験だけでなく検索広告のアップデートも影響しています。たとえば、企業情報の表示と広告ラベルを変更するなど、細かなアップデートを繰り返し検索広告のクリック数を向上させています。
大町:本来広告は、広告主がユーザーに届けたいメッセージを、限られた文字数の中で的確に表現した完成度の高い情報です。コンテンツとして見覚えがある広告や、目に留まる広告ならユーザーも受け入れやすく、パフォーマンスも高くなります。
LINEヤフーでは、厳しい広告審査で不適切な広告を排除し、ストレスを感じさせない、コンテンツとして安心して広告を見ていただけるプラットフォーム作りに取り組んでいます。これらの広告周りの取り組みも、直近のパフォーマンス向上に寄与しています。
Yahoo! JAPANからの検索とLINEからの検索、どう違う?
MZ:LINEから検索するユーザーとYahoo! JAPANから検索するユーザーの間で、属性や検索行動、キーワードに違いはありますか。LINE、Yahoo! JAPANともに膨大なユーザー基盤を持つプラットフォームなので、ユーザーの使い方に違いがあれば教えていただきたいです。
大町:まずユーザーのデモグラフィックに違いがあります。Yahoo! JAPANはPC全盛期の時代から長きにわたって日常的に使われている方が多いです。一方でLINEは、若年層を含む全年代の方々に普段のコミュニケーションツールとして根付いているため、何かを知りたいと思ったときその場でぱっと検索しているような傾向が見られます。LINE経由の検索クエリを見ると、リアルタイムに知りたいキーワードや急上昇トレンドとして注目される言葉が多いです。
カギは季節性と新商品、検索広告活用のヒント
MZ:LINE経由のユーザーが加わったYahoo!検索ですが、検索広告を使う際、広告運用者をはじめとしたマーケターが意識したほうが良い点を教えてください。
大町:検索数が月間約1億回も増えているため、前年と同様の感覚で運用されていると、LINE Searchで増加した分を取り逃してしまう可能性があります。
LINE経由で来るユーザーはこれまでより若年層が多く、新商品や季節性商品関連のキーワードで検索する傾向が見られるため、検索数の増加、ユーザーの属性の違いを意識したうえで出稿することが求められます。
「○○ 新モデル」「○○ ハロウィン」など、新商品や季節性を絡めたキーワードを確実に利用いただくことで、効率的にこれまで以上のリーチを期待できます。
MZ:今後、検索広告で新商品や季節性商品のプロモーションを実施するとなった場合に、キーワードを考える際の具体的なアドバイスはありますか?
大町:商品名が検索時に想起されている場合は指名検索で狙えると思います。そうでない場合はクエリの傾向として「ブランド名(企業名)+新モデル」といったワードが上昇してくることが多いです。
まずは自分がユーザーの立場だったら、話題の商品を知りたいときにどのようなクエリで調べるか。思いつく限り入れてみると良いと思います。その感覚は多くの場合、正しいはずです。また、最適化提案ツールもご用意しているので、キーワード設計に悩んだ際はそちらも活用していただきたいと思います。
また、検索広告ではテキスト広告だけでなく、ブランド名やサービス名などの検索キーワードに連動して、検索結果の広告掲載位置の最上部にバナー広告を表示させる「検索連動型ブランディング広告」を提供しています。画像はもちろん、動画は自動的に再生され、より視覚的なアプローチができるので、このようなメニューの活用も検討すると良いと思います。
AIを活用した機能開発でさらなる進化を
MZ:最後に、今後の検索広告に関する展望を教えてください。
大町:引き続き検索体験のさらなる向上を目指した開発に取り組んでまいります。また、2023年11月に新たな広告メニューの提供を予定しております。広告主や広告運用者の皆様に向けても、今後の広告運用の効果改善や工数削減につながる様々なツールを提案していく予定です。
たとえば、テキスト広告に関しては、AIとYahoo! JAPANが持つデータを使った機能開発を行っています。これまで蓄積されてきたデータから勝ちパターンを導き出し、商品やサービスの価値が伝わるタイトルや説明文の生成・提案を可能にします。そして、実際に効果があったかを把握できるようにするため、既存のテキスト広告とA/Bテストができる機能も、将来的に提供する予定です。
このような取り組みを通して、これからも広告主や広告運用者の皆様に選んでもらえるプラットフォームを目指してまいります。
「Yahoo!広告 検索広告」については、「Yahoo!広告に関するお問い合わせ」からお問い合わせください。