各店舗を擬人化し、若年層にアプローチ
具体例として、同社はセブン&アイ・クリエイトリンクの事例を紹介。コミュニケーションプロデュース事業を手掛けるFOR YOUの筧氏が進行のもと、セブン&アイ・クリエイトリンクの野村氏・星野氏を迎え、ドワンゴの瀧口氏とともにパネルディスカッションが行われた。
セブン&アイ・クリエイトリンクは、セブン&アイホールディングスの中で唯一のデベロッパー会社で、物件の開発・建築・リーシング・運営管理などを横断して手掛けている。
その中で野村氏と星野氏は、アリオや、グランツリー、プライムツリー、セブンパークといった全国22店舗の大型ショッピングモールで実施する、全社企画のイベントの立案・構築、実行業務などを担っている。
同社は、ファミリー層が縮小傾向にあることを背景に、次世代のショッピングセンター顧客層であるZ世代やα世代のファン化と、地域コミュニティーの拠点になることを掲げ、それらを達成できる施策を検討してきたという。
そこで2020年に、同社は各店舗を擬人化した22体のキャラクターを生み出すプロジェクトを立ち上げた。
これらのキャラクターを『棚照結神(たなてらすむすびのかみ)』と名付け、認知拡大を目的に小売店としては初めてコミックマーケットやAnimeJapanに出展した。「その結果、公式X(旧Twitter)には1万を超える方にフォローいただけました。しかし、来店につながる企画ができずに2年間、モヤモヤと走ってきた状態でした」とセブン&アイ・クリエイトリンクの野村氏は語った。
キャラクターを活かした双方向企画で盛り上がる
こうした状況にドワンゴは、参加型の企画を提案。「棚照結神超総選挙」と題し、全22体のキャラクターから上位7位を決める総選挙形式の企画だ。
具体的には、ニコニコ公式生放送で総選挙実施を告知し、番組内で店舗ごとに当選した際のマニフェストを発表した。ドワンゴ主催イベントである『ニコニコ超会議』へブースを出展し、並行して全国22店舗にて投票を受け付けた。最後に再度ニコニコ公式生放送で、総選挙の開票特番という形で当選結果を発表した。
「イベントを盛り上げて投票数を増やすために、お客様に喜ばれるマニフェストを各店舗で連携して作成していきました」(瀧口氏)
実は、最初のマニフェスト発表の動画を、各店で撮影してもらうのが大変だったと星野氏は振り返る。
「まず私が簡単な動画を作り、見本を示しました。すると、各店のスタッフも動画を制作してくれました。完成した動画は、素人っぽさが『おもしろい』とニコニコ動画ユーザーにも温かく受け入れてもらえました」(星野氏)
ニコニコ超会議では総選挙の投票や、コスプレイヤーとの写真撮影など、参加型のブースを作成。「総選挙実施の告知をした生放送を見て参加した」と話す人もいたという。
「別イベント出展時は、ほかのアニメブースを見にいらした方が多かったのですが、今回は当社を目的として来場される方が多かったです。会場にいる私たちも非常にうれしく思いました、オンラインとオフラインがひもづいている実感が持てましたね」(星野氏)
また、最後に行った開票特番生放送の目的は、協力してくれた地域の方々や企画の参加者に感謝の気持ちを伝えることにあった。そのため総選挙の結果とともに、各キャラクターが感謝コメントをしていった。
「当社は、地域と笑顔でつながる“スマイルリンクアクション”を重要視しています。『地域と一緒にいろいろやっていて、いい会社だよね』ともコメントいただき、会社として大切にしていることも伝えられたことをうれしく思っています」(星野氏)