ミドル世代×Yahoo!広告は相性が良い
MarkeZine 編集部(以下、MZ):月成さんがデジタル広告の運用を担当している「ミドルの転職」のサービス概要について教えてください。
月成:「ミドルの転職」は30代・40代を中心とした「ミドル世代」の転職を支援する求人情報サイトです。ミドル世代向けの求人を国内最大規模で掲載しており、経営幹部・CxO・部長クラスの募集など年収1000万円を超えるハイクラス求人も豊富です。
月成:最近は、GPTツールを用いて、自身の職務経歴を適度に要約できる自動生成機能を搭載しました。これにより、企業とマッチングする可能性を高める職務要約が簡単に作成できます。
MZ:30~40代がメインターゲットという「ミドルの転職」ですが、どのようなプロモーションを行っているのでしょうか。
月成:ターゲットにリーチするための手段のメインとなっているのは、Yahoo!広告をはじめとしたデジタル広告です。Yahoo!広告以外にもアドネットワークやSNS広告などを活用しています。
MZ:その中でYahoo!広告はどのような目的で活用していますか。また、活用しているメニューについても教えてください。
月成:Yahoo!広告は、新規会員の獲得を目的に活用しています。Yahoo! JAPANは幅広い年代に利用されているので30代から40代のユーザーも多く、「ミドルの転職」と相性の良いプラットフォームです。他のプラットフォーム以上に、Yahoo!広告経由での会員数増加には期待しています。
また、現在活用しているメニューは、Yahoo!広告 検索広告とYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)です。
潜在層のリーチ目的にニュース閲覧ターゲティングを導入
MZ:今回、Yahoo!広告のニュース閲覧ターゲティング(※)を活用した配信を行ったと聞いています。どのような背景があったのでしょうか。
※ニュース閲覧ターゲティングとは?
ニュース閲覧ターゲティングは、Yahoo!ニュースの閲覧データをもとに、広告主の商材に興味がある潜在顧客を発見してアプローチする手法。例えば、商材に関連するニュースを見たユーザーに広告を配信することなどが可能となる。LINEヤフーが提唱する「セレンディピティ・マーケティング」(潜在的興味関心を掘り起こし、思いがけない出会いを通じて興味関心につなげていく手法)の一環で提供しているサービスの一つ。
月成:性年代のデモグラフィックターゲティングやリターゲティング広告など、従来のターゲティングだけでは新規会員の獲得に限界があったというのが導入の背景です。
これまでYahoo!広告では、デモグラフィックターゲティングやリターゲティング広告でターゲットにアプローチしていました。クリエイティブには「ミドルの転職」の人気コンテンツである転職体験レポートの内容を引用し、「スカウトが来て自分の市場価値がわかった」「家族のために転職しました。○○歳」など、リアルな声を反映した訴求を行ってきました。LINEヤフーにクリエイティブの制作を協力いただいたことで最適なものが用意でき、高い広告効果が得られていました。
一方で、転職ニーズのある顕在層の獲得が中心となり、競合との獲得競争が激化していました。これまでの配信方法では獲得数の限界が来ており、中長期目線で見ると潜在層へのアプローチが必要でした。
とはいえ、予約型の広告など広く潜在層にリーチするのはリスクが高く踏み切れません。その中でLINEヤフーに提案いただいたのが、ニュース閲覧ターゲティングでした。
ニュース閲覧ターゲティングの魅力とは?
MZ:LINEヤフーから提案を受けてニュース閲覧ターゲティングの導入に至ったとのことですが、どこに魅力を感じたのでしょうか。
月成:Yahoo!ニュースの閲覧データに人材に関連したものが多くあったのはとても魅力的でした。潜在層向けの施策でありながら、目標CPAともそこまで乖離せずに配信できるのではという期待が持てました。
MZ:では、どのようにニュース閲覧ターゲティングを活用したのか教えてください。
月成:まず、LINEヤフーの担当者の方に協力いただき、リーチできるユニークユーザー数の多いニューステーマを調べていただきました。すると、「転職」「ホワイト企業」「求人倍率」などに関するテーマのニュースを読んでいるユーザーが多いことがわかったので、それらのテーマを中心にターゲティング配信を行いました。
加えて、Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)経由で「ミドルの転職」の会員登録につながったユーザーが閲覧していたニューステーマの分析を行いました。これにより、キャリアアップに関連したテーマもターゲットの含有率が高いとわかったので、関連テーマでの広告配信を行いました。
従来の広告より高いCVRを記録、目標CPAもクリア
MZ:ニュース閲覧ターゲティングの活用に際し、工夫した点を教えてください
月成:デモグラフィックターゲティングを併用したこと、既存の配信で効果が出ていたクリエイティブを使用したことです。Yahoo!広告で潜在層向けの施策を行うのは初めてだったので、どのようなクリエイティブが潜在層に効果的なのかは未知数でした。そのため、既存の配信からの変更はあえてしませんでした。
また、既存の配信方法にニュース閲覧ターゲティングを加えることで、どれだけ効果が改善するのかを検証する狙いもありました。
MZ:ニュース閲覧ターゲティングを活用したことで得られた成果について教えてください。
月成:これまでのデモグラフィックターゲティングの広告配信も並行して行っていたのですが、それよりも高いクリック率が得られました。また、CVRに関しても従来の配信と比べ改善が見られた上に、目標CPAに近い数字となっていました。
通常、潜在層への配信を行うとCPAが高騰してしまいがちで、他のプラットフォームの潜在層向け施策では目標CPAをはるかに上回ってしまうこともありました。ニュース閲覧ターゲティングは、ミドル世代の転職潜在層へ適切にリーチしたことで、潜在層向けの施策でありながら、目標CPAで獲得できたのだと考えています。
転職・キャリアアップ以外のニュース関心層も視野に
MZ:今回の取り組みで得られた気づきや学び、また改善点はありますか。
月成:ユニークユーザーの多い転職関連のニューステーマや過去にコンバージョンしたユーザーが閲覧していたニューステーマを軸にターゲティングを行うことで、高いパフォーマンスを得られることがわかりました。しかし、転職などキャリア関連のニューステーマ以外にも、ミドル世代の転職潜在層が興味・関心を持つものがあるはずです。
そのため、今後の改善点は、ミドル世代がどのようなニュースに興味・関心があるのかを探りターゲティングの幅を広げること。そして、今回は過去に配信して効果が高かったクリエイティブを採用しましたが、次回以降はより潜在層に特化したクリエイティブを模索したいです。
新たなデータを活用して、顕在層、潜在層へアプローチを
MZ:ニュース閲覧ターゲティングの改善案が出てきましたが、その他のメニューを含めて今後Yahoo!広告をどのように活用していきたいですか。
月成:冒頭でもお話ししましたが、昨今デジタルマーケティングの競争が激化し、顕在層向けの施策だけでは限界が見えてきました。その中で、LINEヤフーが提唱する「セレンディピティ・マーケティング」は積極的に取り入れていくべき手法であり、ニュース閲覧ターゲティングは今後も活用していきます。
また、ニュース閲覧データ以外にもLINEヤフー様の持つデータを活用していきたいです。2023年10月にLINEとヤフーが統合したことで扱えるデータの種類も増えると思うので、幅広い分析や活用ができることを期待しています。
MZ:最後に「ミドルの転職」のマーケティングに関する今後の展望を教えてください。
月成:ミドル世代に話を聞くと「今の年齢で転職のハードルは高い」とおっしゃる方がいます。しかし実際に「ミドルの転職」で転職活動を行い、キャリアアップに成功した方を私たちはたくさん見てきました。より多くの方に「ミドルの転職」を利用いただけるように、プロモーションとプロダクト改善の両方を強化したいと思います。
その結果、ミドル世代の転職における選択肢の一つに「ミドルの転職」が入ると嬉しいです。そして、年齢を理由に転職を諦めてしまう方が少しでも減るよう、今後もYahoo!広告をはじめとしたプロモーション活動を続けていきます。
ニュース閲覧ターゲティングは、LINEヤフーが提唱する、ユーザーに新しい出会いをもたらす「セレンディピティ・マーケティング」の考えのもとに生まれたターゲティング手法です。こちらのページから詳しい資料のダウンロードが可能です。