巨大企業による「AI×発電」事業の投資が続々と
Amazonが原子力発電によるデータセンターを購入
Talen Energy社は2024年3月、発電所脇にあるデータセンター用の土地をAmazon(AWS)へ売却したことを発表。電力供給の新エコシステムには、発電確保だけでなく、電力を直送する「大容量の送電網」が必要で、そのための土地も近隣に確保している。
サム・アルトマン氏率いる発電事業「Oklo」が上場
OpenAIのサム・アルトマン氏率いる「次世代」原子力発電のOklo社がニューヨーク証券取引所(NYSE)に2024年5月に上場。上場に至るほどの新エコシステムの発進だが、日本ではあまり知られていない。
ビル・ゲイツ氏、次世代原発プロジェクトに数十億ドル投資の用意
ビル・ゲイツ氏(個人)が筆頭オーナーとして設立したTerra Power社の「次世代」原子力発電所が、ワイオミング州で2024年8月に着工した。同氏は、このプロジェクトにさらに数十億ドルを投資する意思を示している(参考動画)。「次世代」と称されるのはSMR(Small Modular Reactor:小型原子炉)を指し、これまでの巨大な発電施設ではなく、小型で量産されるエコシステムを築く。
Oracleがデータセンターの建設を計画
Oracleの創業者ラリー・エリソン氏は、3基のSMRで稼働するギガワット規模のデータセンターの建設計画を2024年9月に発表した。同社は現在、世界中で162のクラウドデータセンターを運用・建設中で、ここにNVIDIAのGPUクラスターを収容する。
Microsoftがスリーマイル島原発の電力を20年間購入する契約
米大手電力Constellation Energy社は2024年9月、1979年に事故のあったスリーマイル島原子力発電所で1号機を再稼働させると発表。MicrosoftのAIデータセンターに20年間にわたり電力を供給する契約も発表された。
AlphabetがGW級のデータセンターを開発中
2024年9月にサンダー・ピチャイ氏は、米国の講演にてSMRをデータセンターの潜在的なエネルギー源として言及。同様の内容を日本でのインタビューでも答えている。
NVIDIAのジェンスン・フアン氏が「原発は良い選択肢」
ジェンスン・フアン氏は、AIデータセンターを支えるだけの発電量の不足に対し、持続可能なエネルギー源の理解枠を拡張するよう、2024年9月に指摘した。
これら巨大企業の一連連鎖は、AIやデータセンターの手前の電力需要が急増し、脱炭素の発電源の多様性が進む予兆だ。欧米に限らず、関西電力が米大手のCyrusOne社と合弁にて1兆円規模のデータセンターへの投資第1号案件を発表するなど、「AIと電力」は国境を軽く超えて既に日本でも大きな動きが現れている。
「AIやデータセンターの電力需要」が増大するのは読者も予測の範囲だろう。本稿は2024年10月現在の様子だ。日本も米国も新政権後に、さらなる「新エネルギー議論」がグローバル土俵で進むことが期待される。