消費者は、購買を決める瞬間に“確信”を求めている
MarkeZine:今日は「AI時代の検索×消費行動の在り方」をテーマにお話を伺っていきます。入り口として、現代の消費者は買い物に際する検索や情報収集に対してどのようなニーズを持っているのか、解説をお願いできますか。
朴:買い物をする際、消費者は誰しもが「自分にとって最善の選択」を目指します。その望みに最も合う商品・サービスを、できるだけ少ないコストで手に入れたいと思うわけです。
情報技術の発達により、私たち消費者は多くの選択肢に容易にアクセスできるようになりました。一方で、みなさん実感されているとおり、膨大にある選択肢の中から1つを選び抜くための労力は増しています。調査では日本の消費者の6割以上が、その情報の多さに圧倒された経験があると回答しており、これは諸外国に比べても高い数値です。
そのような中、注目すべきは、消費者の中に2つの矛盾した購買心理が存在しているということ。具体的には、「失敗がこわいから慣れ親しんだ選択肢にとどまりたいという気持ち」と「いつもの選択肢よりもっと良い選択肢があるかもしれないと期待する気持ち」が存在していることがわかっています。そんな複雑な感情を抱えながら、私たち消費者は「自分にとって最善の選択」をするために検索行動をしているのです。
MarkeZine:最善の選択肢にたどり着くまでに、多くの消費者が多少なりともストレスや葛藤を感じていると理解してよいですか?
朴:そうですね。結局、最善の選択肢は誰に決められるわけでもなく、自分自身でその選択が最善だと確信する必要があり、そのためには自分に関連度の高い情報を調べ切ったと思えるかが重要なことがわかっています。
当然ですが、生活者はすべての情報へアクセスし、選択肢を吟味できるわけではありません。加えて、丁寧に情報探索をしても確信できない場合もあります。自分の選択に確信を持つには、膨大な情報の中から「自分にとって意味ある情報」を「効率的に」取得できるか否かが鍵になると言えるでしょう。
ちなみに、世界的な傾向としてGoogleの検索クエリは年々長くなってきているんですよ。たとえば、昔は「日焼け止め 人気」くらいだったのが、最近は「日焼け止め とにかく汗に強い プチプラ」といった具合に変化しているのです。日本でもこの1年間で、4分の3以上の商品・サービスカテゴリにおいて検索クエリが長くなっていました。消費者が「自分にとって意味ある情報」を求めている様子が伺えます。