ただし、買い物をAIに任せたいわけではない?
朴:今回の調査から得られたもう1つの重要な発見は、消費者は依然として主体性をもって買い物を楽しみたい、主体的に選択をしたいと考えているということでした。
たとえば、ランニングが趣味の私は、ネットでランニングシューズを探したり、見たりすること自体を楽しんでいます。様々な情報を探すことを、別に苦だと思っていません。興味本位でAIにおすすめのランニングシューズを聞くことはあるかもしれませんが、やはり自分で探して「これがよい」と確信したものを買うでしょう。
一方で、自分があまり興味がないけれども購入しなければならない商品については、その商品の機能・効果・効能・スペックなどを踏まえて、AIにおすすめを提示してほしいと思います。このように生活者の興味や趣味嗜好によって、検索時にAIに求めることは変わってくると考えます。
MarkeZine:たしかに、購入するまでに時間や労力をかけたからこそ、愛着がわいたりする場合もありますものね。
朴:はい、商品・サービスへの関与度や価格のほかに情報の専門性によっても、変わってくるところだと思います。
こうした傾向は「買物で最善の選択肢を提示してくれる魔法の杖があるなら利用したいですか?」と質問した項目で、この魔法の杖に頼りたいと回答した人が4割にも満たなかったという結果からもわかります。日本の生活者の7割以上が、AIの提案にすべて任せるよりも自分で納得して商品を購入したいと考えているとの調査結果もあるのです。
そして、今回の調査に限らず、これまでGoogleが実施してきた調査によると、他国に比べ日本の生活者は買い物で確信を持てる確率が低いということがわかっています。
日本は、「商品の数が多く、ネットでも店頭でもバラエティ豊かな商品が提示されているため、そもそも多くの選択肢にアクセスしやすい環境であること」「文化的な特徴として、買い物のリスクを回避したいと考える傾向があること」などが関係していると考えられます。こうした日本の状況下においては特に、AIが消費者の最善の選択を支える良きパートナーとしての役割を果たすようになるのではないでしょうか。
