ブランドイメージの固定化を課題視
──最初に、神島さんのご経歴と現在担当されている業務についてお話しください。
4℃を展開するエフ・ディ・シィ・プロダクツに新卒として入社後、店舗においてショップスタッフや店長を経験しました。その後は販売促進部へ異動し、マーケティング、プロモーション、ブランディング、デジタル関連プロジェクトの立案などに携わっています。
──「匿名宝飾店」のお取り組み、大変興味深く拝見しました。同プロジェクトを始動した背景からお聞かせ願えますか?
昨年、当社はおかげさまで創業50周年を迎えることができました。多くの方々にブランドを知っていただけるようになった一方、ブランドイメージの固定化を課題視していたんです。人々のバイアスを取り払い、ジュエリーのデザインや品質、装着した際の印象で商品を選んでもらいたい。そんな思いから「ブランド名をあえて伏せた状態で、ジュエリーそのものに触れていただく機会をつくろう」と考え、匿名宝飾店のプロジェクトを始動しました。
──ジュエリーを選ぶ際にブランド名を重視する人は多い気がします。
そうですね。ブランドという言葉の語源は「焼印」にありますが、匿名宝飾店ではすべてのジュエリーからブランド名の刻印を消しました。当社の代表を筆頭に、私たちは「良い商品やサービスを提供するからこそブランドになる」と考えています。
ジュエリーカルテやフォトブースで新たな店舗体験を実現
──改めて匿名宝飾店の概要をお聞かせください。
9月8日(金)~9月24日(日)の期間限定で、4℃発祥の地である東京・表参道にオープンしました。コンセプトは「ブランド名ではなく、目の前のジュエリーを通して、自分の指や肌のうえでジュエリーを好きになってほしい。」です。ブランドの看板をあえて伏せることで宝飾店特有の入店ハードルを解消し、訪れた方がジュエリーと向き合う時間を「楽しい」と感じられるような、新しい店舗体験の提供を目指しました。
店内には自分に似合うジュエリーを知るための「ジュエリーカルテ」の作成コーナーや、商品を自由に手に取ることができる展示・試着コーナー、数多くのジュエリーの中から好きなものをビュッフェ形式で選んで撮影ができるフォトブースなど、様々なコンテンツを用意しました。一部の商品はその場で購入することも可能でした。
ジュエリーはお客様に身につけていただいて初めて輝くものだと私たちは考えています。ジュエリー単体で輝くものではありません。匿名宝飾店では試着体験のコンテンツを充実させることで「ジュエリーはお客様を輝かせる存在である」という私たちの根幹にある思いを表現しました。