大半のビジネスパーソンがまだ模索中の「実務でのAI活用」。本連載では、博報堂/SIXのクリエイティブ・ディレクター 藤平達之さんが「AI×クリエイティブワーク」をテーマに、AI活用に精通している方、様々な領域のAI開発をリードされている方と対談を重ねていきます。連載の第3回は、Droga5 TokyoのCCO(チーフクリエイティブオフィサー)を務める浅井雅也さんを訪問。浅井さんはアクセンチュアソングの日本でのCCOも兼務しており、AI・データ領域に大規模な投資をするアクセンチュアのAI活用の現在地を探るとともに、「広告」領域に留まらない、ブランドやビジネスそのものをドライブしていくためのAI活用の在り方について話をしてきました。
AI・データ活用に約4,000億、アクセンチュアのAI活用の現在地
藤平:今日はよろしくお願いします。「クリエイターはAIとどう向き合えばいいのだろうか」という課題意識から、この連載をスタートしまして。第1回でTHE GUILDの深津さんにUXデザイナーの観点から、第2回でアドビの清水さんにマーケターの観点から、AI活用の現在地や展望についてお話を聞いてきました。どちらの記事も反響があったそうです。
浅井:深津さんとの対談記事、拝見しました。AIにより人間が代替されるのではなく、AIを活用することでチームメンバーが1人増えるのだという話はおもしろかったですね。少し安心もしました。
藤平:そうですよね。「AIはCo-pilot(副操縦士)である」というアドビのAIのコンセプトも聞くことができ、既存の仕事におけるAIとの向き合い方は、この2回でかなり見えてきたと思っています。
今日は、浅井さんご自身のお話はもちろん、Droga5やアクセンチュアがAIをどう取り入れているのかもお聞きしながら、「AIによって広がる新しい可能性」についてお話しできればと思っています。さっそくですが、実務で既にAIを活用されていますか?
浅井:アクセンチュアは、データとAIの関連事業に今後3年間で30億ドルを投資していくことを発表しており(2023年6月時点)、生成AIを含む複数のAIを組み合わせたソリューションの展開や日本を含む世界各地で生成AIスタジオを設立するなど、積極的に取り組んでいます。また、セキュリティを担保した環境で活用できるアクセンチュア版のChatGPT、社内AIコンシェルジュなど複数の社内向けサービスでAIを立ち上げており、社員の約半数が定常的に生成AIを活用している状況です。日本の社員の2.3万人のうち4,000人近くが参加する自主的な勉強コミュニティも立ち上がったりしています。
僕もブラウザを開く時には、検索エンジンよりも先にこのアクセンチュア版ChatGPTを開くようにしています。検索する前に一度ChatGPTに入れてみたり、講演資料の構成立てを手伝ってもらったり、英訳和訳で使ったり、作業効率化のために普段から使っていますね。
藤平:日本円では4,000億を超える投資規模、ハンパないです。ChatGPTの活用や英訳和訳、資料の壁打ちといった使い方は、深津さんや清水さんからも出てきました。僕も実務の中で実践を始めていますが、やっぱり便利ですよね。
ちなみに、アウトプットにAIを使用したケースはまだありませんか?
浅井:ちょうど最近、そういう機会がありました。サウジアラビアで開催された『リヤド・シーズン』というイベントをご存知でしょうか。会期中は延べ1,000万人以上が訪れたフェスのようなイベントで、メインイベントの1つにボクシングの試合があり、このプロモーションをDroga5 TokyoがNYのチームと一緒に手掛けました。その時のポスターがこちらです。フォトグラファーのニック・ナイトが撮影した写真の背景をAIで生成しています。
藤平:ニック・ナイトほどのフォトグラファーが創作活動に既にAIを使っているんだ、という驚きがまずありました。
浅井:そうなんです。グラフィックを制作していく中で、彼と一緒にAIを使う選択をしたのですが、「AIを使うのか……!」と思いますよね。こういう風に、ちょっとしたところにもフラットに生成AIを取り入れていきたいなと思っています。
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
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