AI活用の裏で行っている「自動最適化」とは真逆の取り組み
MZ:これからAIによる自動最適化はますます進んでいくと思われますが、今後デジタルマーケティング領域で意識したいことはありますか?
六浦:私たちは、AIにすべてを任せるのではなく、AIは自分たちと併走していくものと捉えていきたいと考えています。たとえば、サントリーウエルネス様では、自動最適化だと発掘されにくいニッチな層のニーズを捉える戦略を行ってきました。これをスモールマス戦略と呼んでいます。
スモールマス戦略では、まずユーザーアンケートなどを分析し、実際のお客様の商品の利用シーンをカテゴライズします。そして、各カテゴリーの文脈に合わせてクリエイティブを制作、広告を配信していくということを行っています。これは、AIによる自動最適化とは真逆の取り組みと言えるでしょう。実際に成果も出ており、顧客ニーズ×クリエイティブの最適化による効果を見い出せています。
MZ:AIによる効率化が進んでいるからこそ、そうした施策にもリソースをかけられるようになるわけですね。
野本:Metaでは、AIを活用することのメリットとして「パフォーマンスの向上」「作業効率の向上」「ターゲットとなる顧客層の拡大」の3つを挙げています。
Metaの新しい機械学習モデルにより、商品やサービスを届けたい利用者に効率よく情報を伝えられるようになることで広告パフォーマンスが向上することはもちろん、今までアプローチできていなかった潜在的な購入意向を持つ利用者にもメッセージを届けられるようになります。また、多くのプロセスが自動化されることで、サントリーウエルネス様とアイレップ様が取り組まれているスモールマス戦略など、その他のマーケティング活動に多くの時間を充てられるようになるでしょう。
そして、これからの時代AI活用がますます進んでいくからこそ、サントリーウエルネス様が冒頭でお話しされていたような広告・マーケティングに対する考え方がより大切になってくると思います。この点でも、サントリーウエルネス様のお取り組みは非常に参考になります。
最新のテクノロジーを取り入れつつ、人間の介在価値を高めていく
MZ:最後に今後の展望をお聞かせください。
飯沼:目まぐるしいスピードで技術が進化しています。引き続き、アイレップ様やFacebook Japan様と密に連携しながら、最新技術をフルに活用し、お客様に対してその時々で最適なコミュニケーションを行い、商品価値を伝えられるよう取り組んでいきたいと思います。
六浦:AIによる自動最適化に関しては、「なぜAIはそのターゲティングやクリエイティブを選んだのか」などを私たち人間が考えていく必要があると考えています。良いと判断された理由を外部データも含めて分析し、そこから仮説を得ることで、広告運用に人間が介在する価値を高めていきたいです。
辻:AIに限らず新しいテクノロジーやプロダクトを積極的に導入しつつ、人間が介在する部分とのバランスを見極めていくことが重要になってくると思います。広告主様のビジネスを拡大させるというミッションを果たすために、最適な手段をとれるよう日々探求していきます。
野本:Metaでは引き続きAIを活用したプロダクトの改善を続けていきます。今後もサントリーウエルネス様の課題解決につながる新しいプロダクトをアイレップ様と連携し、積極的に提案していきたいと考えています。