Meta最新プロダクトによる最新事例を紹介
MZ:サントリーウエルネスは、アイレップの支援のもと、Meta社の新プロダクト「Advantage+ショッピングキャンペーン(以下、ASC)」と「Bid Multiplier(一部β版)」を活用。「ASC」と「Bid Multiplier」を掛け合わせる方法は先進的な取り組みだということで、この取り組みについて詳しく伺っていきたいと思います。まずは「ASC」と「Bid Multiplier」がそれぞれどのような機能を有するものなのか、ソリューションの概要を紹介下さい。
野本:はじめに「ASC」について説明します。広告パフォーマンスをより改善していきたいという広告主様の強いニーズに応えるべく、私たちはAIを活用した広告製品やツールへの投資および開発を続けています。その実例が、AIを活用して自動化を実現した広告製品群である「Meta Advantage」です。「ASC」はこのうちの一つであり、Webサイト上での購入やサービス申し込みをマーケティングのゴールとする広告主様向けの製品として提供しています。
従来の広告運用では、ターゲットとなるユーザーや広告の配信先などを個別に設定する必要がありました。「ASC」は、そのプロセスのほとんどをAIで自動化しながら、多くの広告主様のパフォーマンスを改善しています。
続いて「Bid Multiplier」は、ディベロッパー向けに提供しているMetaのマーケティングAPIです。Bid Multiplierは日本語に直訳すると「入札乗数」となります。Metaの広告は広告主によるオークション方式で配信が行われていますが、「Bid Multiplier」を利用することで、年齢層や配信エリア、配信面などを細かい単位で入札戦略をコントロールする(入札に乗数をかける)ことできます。「Bid Multiplier」自体は先述のとおりAPIとして既に開放されていますが、「ASC」と掛け合わせて活用いただく方法はβ版でご提供しています(2024年2月時点)。
MZ:「ASC」と「Bid Multiplier」を掛け合わせて活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
辻:高い精度の機械学習により広告の自動最適化、パフォーマンスの向上が実現するというのが「ASC」の特長なのですが、一方で「特定の年齢層に厚く配信したい」など細かな設定はできません。「Bid Multiplier」を掛け合わせることで、「ASC」の自動最適化ではカバーできない部分を補いながら、より広告主様の目的に沿う形で広告効果を改善していくことができます。
野本:アイレップ様は数ある代理店様の中でもいち早く「ASC」と「Bid Multiplier」を導入されており、この2つを掛け合わせて活用した事例は日本ではまだ多くありません。2023年の『Meta Agency First Awards』においても、Best solution Award Advantage+ Shopping Campaignsで賞を受賞されています。
実際の広告成果は? 「AIだけ」では真の目的達成は難しい可能性も
MZ:実際に、サントリーウエルネスでは「ASC」と「Bid Multiplier」を用いることで、どのような結果が出ていますか?
辻:まず「ASC」に関しては、通常配信と並行して「ASC」を活用した配信を行い、配信結果を検証しました。すると、「ASC」を用いた配信のほうが広告コストが15%安価に着地するなど、獲得効率が良くなることが判明しました。また、Facebook/Instagram広告の成果を「ASC」導入前後で比較しても、やはり「ASC」導入後のほうが全体的に高い成果が得られており、同期間で他のプラットフォームと比較しても優れた数値となっていました。
併せて「Bid Multiplier」を活用することで、サントリーウエルネス様が本当に広告を届けたい年齢層への配信量を増加させる検証も行いました。その広告は“初回限定商品の購入”を訴求するものだったのですが、KPIはその先の“定期購入”に置いていました。そこで「Bid Multiplier」を用いて、定期購入に進む率の高い年齢層に広告配信を寄せるよう入札調整を実施しました。その結果、「ASC」のみを用いて広告を配信した時よりも獲得効率が高くなる傾向が見られました。
MZ:今回の検証から、今後の広告運用に活かせそうな収穫はありましたか? 現時点で得られている仮説がありましたら教えてください。
辻:ブランドのメインターゲットによるコンバージョンなのか、そうでないのかによって、同じ1件のコンバージョンも価値が変わってきます。すべてをAIの自動最適化に任せるのではなく、「Bid Multiplier」を活用し、よりメインターゲットに近い年齢層に多く配信することで、KPI/KGIの達成により近づきやすくなるだろうと考えています。