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『MarkeZine』(雑誌)

第112号(2025年4月号)
特集『いま選ばれる「ブランド」の作り方』

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MarkeZine Day 2025 Spring

“可変性”がカギに。サントリー宮城氏×元マツキヨ乙幡氏が明かす、ブランドを強くするデザインのあり方

 ブランドが生活者とより情緒的な関係を構築したいと考えたとき、心強い味方となってくれるのが、デザインが持つ力だ。2025年3月に行われた「MarkeZine Day 2025 Spring」には、マツモトキヨシのPB「matsukiyo」の立ち上げなどを行ってきたブランドテーラー代表の乙幡満男氏と、サントリーホールディングスのデザインセンターでシニアクリエイティブディレクターを務める宮城愛彦氏が登壇。仕事をするうえで知っておくべき秘訣を明かした。

依頼する側/される側の境目を取り払うべき理由とは?

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(写真左)サントリーホールディングス株式会社 デザインセンター シニアクリエイティブディレクター 宮城愛彦氏
(写真右)株式会社ブランドテーラー 代表取締役 乙幡満男氏

 セッションの冒頭、モデレーターを務める乙幡氏が提示した話題は、仕事を依頼する側と依頼される側の違いについて。具体的には、マーケターとデザイナー、インハウスとエージェンシーなど、様々な関係性が想定できる。宮城氏は、「依頼する側→抽象」「依頼される側→具象」という一般的に想定される役割分担を取り払ったほうが良いと述べ、その理由を明かした。

 宮城氏が考えるデザイン開発のプロセスは、料理に近いものだという。料理をするときはまず、顧客に食べたいものを聞き、メニューを考え、レシピを作る。続いてレシピに沿って実際に調理をし、最後に盛り付けをして完了となる。しかしいざ料理を始めると、前の工程との境目が曖昧だったり、途中で方向転換が生じたりすることがたびたびある。

 「味見をして、違うなと思ったら、またもう1回メニューやレシピに戻ることがありますよね。最初はカレーを作ろうと思って作っていても、途中で味見をしてみたら、シチューのほうが良いのでは? と方向転換することもあります。デザイン開発も同様で、行ったり来たりすること、あるいは走りながら考えること、料理で言えば「味見」が大事だと思います」(宮城氏)

 ところが、依頼する側/される側の境目を明確化しすぎてしまうと、料理のような柔軟なプロセスで開発を進めることは難しくなる。たとえばマーケターが味見をしたいと思っても、その工程はデザイナーの仕事、ということになり、役割を超えられなくなる。すると開発プロセスも最終的に提供される商品も、硬直化してしまう。実際にサントリーにおいても、デザイナーとマーケターの境目が無く、それぞれが役割を超えて超域的に連動することで、開発プロセスも具体と抽象を往復しながら進んでいくそうだ。

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商品パッケージに見る「売れるデザイン」と「良いデザイン」の違い

 次に話題になったのは、「売れるデザイン」と「良いデザイン」の違いについて。

 宮城氏は商品パッケージのデザインに大きく分けて2つのパターンがあることを例に、両者の違いとそれがブランドにもたらす影響について話を展開した。

 「(2つのパターンが)どう異なるかというと、象徴的な違いは文字による説明があるかないかです。たとえば、商品の効能や有効成分などが、あれこれ書かれている場合と、書かれていない場合があります。その2つについて、『どちらが売れそうか』を尋ねると、文字による説明があるパッケージを挙げる人が多いかもしれません。一方、『どちらが良いか』『どちらが好きか』と聞かれたら、文字による説明がないパッケージを挙げる人が多いと思います。この違いに、『売れる』と『良い』の問題が集約されているのではないでしょうか」(宮城氏)

 宮城氏は文字による説明があるもの(チラシ的なデザイン)がもたらす効果を「合理的効果」、文字による説明がないもの(嗜好的デザイン)がもたらす効果を「情緒的効果」と呼び、それぞれが時間の経過とともにブランドにどのような影響をもたらすかを説明した。

次のページ
2種類のデザインが中長期的にブランドにもたらす影響とは?

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/05/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/48807

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